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プレゼント 書評こぼれ話

  思えば
  私が映画雑誌「キネマ旬報」の
  「読者の映画評」で取り上げられたのは
  アーサー・ペン監督の
  「奇跡の人」であった。
  その映画評の骨格には
  谷川俊太郎さんの「うつむく青年」という詩があったことを
  今でもはっきりと
  覚えています。
  その詩集『うつむく青年』が刊行されたのは
  1971年.
  私が16歳の時で
  だとすれば
  刊行されて間もないこの詩集を
  私は読んだはず。
  詩人谷川俊太郎さんは
  私にとっては
  そんな詩人。
  今日は
  谷川俊太郎さんのこれまでの歩みを
  尾崎真理子さんが描き出した
  『詩人なんて呼ばれて』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  桂冠なき詩の王                   

 詩人というと宮沢賢治や中原中也といった早熟の才能を持ちながらも早逝した人物たちを思い浮かべる。
 しかもどちらかといえば生前は世の中に認められず、出した詩集も数冊みたいな。
 そんな詩人などもはやいない。
 詩を書くから詩人であったとして、詩をもって生活の糧にできる人などいやしない。
 ところが、谷川俊太郎だけはどうもちがうようだ。
 谷川の収入のうち詩を書いて得たものあるいは詩集の印税がどれくらいあるのか知らないが、谷川のどんな活動、有名なところでいえば絵本やチャーリー・ブラウンの翻訳といったものがあるが、それらも詩人谷川俊太郎の仕事に分類されるものだ。
 つまり、谷川俊太郎は1952年に『二十億光年の孤独』で鮮烈なデビュー以降、ただ一人詩人であり続けた、稀有な人なのだ。

 この本は『ひみつの王国』という作品で石井桃子の生涯を隈なく描き出した尾崎真理子が谷川へのロングインタビューを媒介に谷川の半生だけでなく戦後詩のありようまで見事に書き留めた一冊である。
 谷川の半生といえば三度の結婚と離婚、そのうちの一人が佐野洋子である、さらには父親谷川徹三との微妙な距離など興味深いところも、インタビューでは正面から尋ねている。

 本作の読み応えでいえば、第5章の「無限の変奏」ははずせない。
 ここではバブル経済破たん後の、詩壇だけでなく文芸全体が陥った倦怠が整理されている。
 そんな章の一節が、もしかしたらこの本のすべてを物語っているやもしれない。
 「谷川俊太郎は1950年にデビューした時から、桂冠なき詩の王として、ここまで在り続けてきたのだ」。
  
(2017/12/15 投稿)

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