FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  今年の流行語大賞のひとつは
  「忖度(そんたく)」でしたが
  政治の世界だけでなく
  企業の不祥事などを見ていると
  日本人は
  忖度から逃れられない性格を
  持っているような感じさえします。
  今日紹介するのは
  磯田道史さんの『無私の日本人』で、
  この本に紹介される日本人は
  忖度とは別の次元にいますが
  やはり彼らは例外で
  実際日本人の多くは
  無私などとは
  ほど遠いと
  悲しい気持ちになる一年だったと
  思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちは「穀田屋十三郎」になれるだろうか                   

 フィギュアスケートの羽生結弦選手が仙台藩第七代藩主伊達重村を演じて話題となった映画「殿、利息でござる!」(2016年公開・中村義洋監督)の原作が、この本に収められた三つの作品のひとつ「穀田屋十三郎」である。
 映画のタイトルではわかりにくいが、仙台藩の小さな宿場町に住む穀田屋十三郎という人物が圧政によって自分たちの村が疲弊し、将来には朽ちるしかないと憂いて、財政難の仙台藩に金を貸し出すことで藩から利息を得、それを村の人たちに分け与えんと、一念発起する話だ。
 一念発起どころではない。十三郎やその志に応えん者数名は自身の家屋敷、財産さえも投げ出すことすらする。
 さらにそんな徳すら子孫に偉ぶることのないよう、釘をさす。

 著者の磯田道史氏は歴史学者として、実際の古文書や地元の歴史愛好者が調べあげた書物を丹念に読み解き、単に歴史を論文の形で発表するのではなく、多くの普通の読者が読むだろう文章に仕立てあげ、日本人が本来持っていたであろう資質を描いてみせた。
 初出の連載は「文藝春秋」で、確かにその読者の読書意欲を満足させる作品になってであろう。
 その他に「中根東里」「大田垣蓮月」(いずれも人名)という江戸時代の人物を取り上げているが、穀田屋十三郎にしろ、三人とも歴史上有名な人物ではない。
 しかし、いずれも己を消し去り、他のために生きたという点では共通している人物だ。

 彼ら三人の持っていた資質が本来の日本人のありようなのか、それとも例外的な日本人であったのか。
 私はやはり日本人は遠いところまで来てしまったような気がしないでもない。
  
(2017/12/26 投稿)

  芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/3436-e407787b