プレゼント 書評こぼれ話

  これは私の推測に過ぎないが
  吉村昭さんは
  少し昔風の男性気質を持っていたのではないか。
  言ってみれば
  少し頑固で
  はにかみで
  言葉数も少なく。
  それらが作品の底流に流れているような
  気がしている。
  だから、
  男性の読者は吉村昭作品が好きなのではないか。
  かくいう私も
  その一人だが。
  今日は昨日のつづきで
  『桜田門外ノ変・下』です。
  面白いですよ。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  その時歴史は動いた!                   

 吉村昭氏はあるインタビューで、この作品を新聞に連載するにあたって二度大きく書き直しをしたと告白している。
 そのうちの一回は252枚も描いた原稿を燃やしたという。
 書き直しの理由は事実に反したことが判明した場合や自身が納得しない場合だそうで、例えばこの作品に登場する西郷隆盛は当時吉兵衛と呼ばれたいた時代でよくいわれる吉之助ではなかったとか、そういう細かい事実の積み重ねで、吉村氏の歴史小説が出来上がっているといえる。
 歴史上有名な大老井伊直弼の暗殺を描いたこの作品でも、その首謀者である関鉄之介を主人公に据えたのは、彼の日記が多く残されていたからと「あとがき」に書いているように、日記という事実があればこそ吉村氏の筆が動いたのであろう。

 いよいよこの下巻で、タイトルの「桜田門外ノ変」が描かれているが、400ページほどのこの巻でそれは前半100ページほどで描かれてしまう。
 あとは関鉄之介の逃亡生活がほとんどである。
 つまり上下二巻の全体を見ると、最初の300ページほどが変に至るまでの背景、そして真ん中100ページは変そのもの、あとの300ページは逃亡と事件に関わった藩士たちのその後を描いていると、大きくいえばそうなる。

 それにしても変そのものの描写のすさまじいことといったらない。
 桜田門に向かう井伊直弼の一行とそれを襲う藩士たち。ましては、その朝は大雪。
 まるで吉村氏自身が現場にいたかのような、そしてそれは読者である私たちにもある現場感覚こそ、この作品の醍醐味ともいえる。
  
(2018/05/12 投稿)

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