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プレゼント 書評こぼれ話

  10年をひと昔というなら
  昔百貨店で働いていたことがある。
  その時に経験した文化催事が
  「星野道夫展」だった。
  そのことがきっかけで
  星野道夫さんの文章や写真に魅かれたのだから
  百貨店の展覧会は
  一人の人間の魂に影響を与えることすらあると
  いうことだろう。
  そんな百貨店の文化催事を
  「昭和のみせもの」としてまとめたのが
  今日紹介する
  志賀健二郎さんの
  『百貨店の展覧会』。
  戦後史としても面白く読める一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  新しい時代でも百貨店に展覧会は必要か                   

 多くの百貨店の催事場は文化催事と物販催事の併用で組まれている。
 物販催事といえば有名なところでいえば「北海道物産展」や「全国駅弁大会」だ。多くの集客だけでなく商品の購入が伴うから百貨店側のうまみも大きい。
 一方、文化催事は「写真展」や「人間国宝展」、あるいは「いけばな展」などが知られているが、そのほとんどは赤字覚悟の催しとなる。
 入場料を取ったり図版や関係商品の販売はあるにしてもそれで開催の諸費用が回収できることはまずない。
 それでも百貨店が文化催事を開催しようとするのは、百貨店としての品格が旧態依然としてあるし、シャワー効果で全館の販売数が増えることを期待するからだろう。
 本書はそんな百貨店の文化催事に焦点をあて、戦後の1945年からバブル崩壊直前の88年までの東京都心の百貨店の「展覧会」を読み解くという画期的な社会史になっている。

 戦後まもない時期の百貨店の「展覧会」の内容を見ていると、現代でいえばさまざまな美術館で開催されているような重厚で日本でなかなか見ることができない内容のものが多い。
 そういうラインナップを見ると、確かに百貨店が文化的インフラの一翼を担っていたことがよくわかる。
 昭和30年代で百貨店に行くというとよそ行きの服で着飾って年に数回あるかないかという家族の一大イベントだったし、そこに「展覧会」や大食堂がセットされると、極上の休日になったものだ。
 しかし、果たしてそれが現代にもつながるかというと多分ちがうだろう。
 百貨店のビジネスモデルにもう「展覧会」は成立しないかもしれない。
 本書はそういう観点からも興味深く読める一冊だ。
  
(2018/05/17 投稿)

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