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プレゼント 書評こぼれ話

  朝井まかてさんの
  この『雲上雲下(うんじょううんげ)』は
  先月の読書会で
  紹介された一冊で
  この本をきっかけにして
  朝井まかてさんの作品で
  どれが一番か喧々諤々となった
  期待の一冊。
  期待にもれず
  面白かったし
  とても深いお話になっていました。
  これが
  「日本農業新聞」という新聞に連載だったなんて
  いいですよね。
  でも、
  どんな新聞なのでしょう。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  物語だからこそ伝わる世界                   

 直木賞作家の朝井まかてさんが「日本農業新聞」に2016年4月から1年をかけて連載した意欲作。
 原題が「福耳草」。単行本化にあたりこの題名に改題されたが、とてもうまいタイトルをつけたものだ。
 「雲上」すなわち神々の住む尊いところ、「雲下」すなわち人々が暮らすこの場所、この二つの世界を結ぶものこそ、「物語」であったとするなら、この作品は朝井まかてさんの「物語論」とも呼べる作品、だから意欲作。

 名もない草にある時「草どん」と呼びかける声がする。それは尾っぽのとれた子狐。
 子狐にせがまれるまま「草どん」は昔話を語るが、自身どうしてそんな話を覚えているのかわからない。
 それでも声になって紡がれる、竜宮や龍の子の物語。
 語ることで「草どん」は自分というものを取り戻していく。
 そんな「草どん」の自分探しと幾編かの昔話が交差して、物語を深みへと誘う。
 まさに誘うという言葉の通り、読者は朝井まかてさんの話術によって、物語の面白さ残酷さ悲哀と感情の奥を暴かれていく。

 そして、次第に「物語論」の核心にはいっていく。
 怖い物語や残酷な物語をそれが残酷ゆえに隅に追いやって隠すことで「痛みを想像できなくなる」、そして手にしたのがゲームにあるような「いびつな残酷さ」ではないかと、朝井まかてさんは物語に語らせる。
 かつて「物語」ゆえに有効であったものを私たちはいつの間にか失いかけているのではないか、朝井まかてさんこそ「草どん」の本当の姿、お伽衆かもしれない。
  
(2018/05/22 投稿)

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