プレゼント 書評こぼれ話

  今の若い人に
  ダイエーといっても知らない人が
  多いかもしれない。
  イオンやセブンイレブンは知っていても。
  あるいはローソンが
  かつてダイエーの傘下にあったなど
  知る由もない。
  私がその会社に就職をした
  昭和54年頃もまたそうで
  ダイエーといえば
  映画会社の大映と間違えられたくらいだ。
  私の顔を見れば
  俳優になどなれるはずもないのに。
  ダイエーを知らない世代にも読んでもらいたい、
  ダイエーの創業者中内功氏のこと。
  今日は小榑雅章さんの
  『闘う商人 中内功』を
  紹介します。
  いい本です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  よい品をどんどん安く                   

 「広辞苑」は辞書であるから改訂版が出るたびに当然新しい言葉や事件、あるいは人名が追加される。2018年1月に10年ぶりに改訂となった「広辞苑」第七版に、「中内功」の名前が追加されることを知り、大いに驚くとともに岩波書店の知見の懐深さに頭が下がった。
 「中内功」というのはかつてダイエーという一大流通王国と作った創業者で、ダイエーの落日とともに2005年9月83歳で逝去した人物である。
 戦後この国にスーパーという流通業を広めた功績は、もちろん中内氏とともに創業者として名を連ねるあまたの経営者はいるとしても、中内氏がいなければそれはまた違った世界になっていただろう。
 中内氏の功績は大きいけれど、ダイエーが巨額の借金まみれになっていく中、中内氏への風当たりは強く、晩節は決して讃えられることの少ない経営者であった。
 その中内氏を「広辞苑」は評価したことは大きい。

 かつてダイエーの調査室長、秘書室長として中内氏のそばで仕えた小榑雅章(こぐれまさあき)氏が赤裸々に語った「中内功」像が、本書である。
 副題に「ダイエーは何を目指したのか」とあるが、おそらく正しくは「中内功は何を目指したのか」だろう。
 こういう著名な(色々な意味で)人の人物評伝となれば、いい面は濃く、悪い面は薄められるものだが、この作品はそういうことはない。
 何しろ著者はあの花森安治氏のいた「暮しの手帖」編集部からダイエーに転職した経歴を持ち、この作品の冒頭は中内氏へ諫言を行って逆鱗にふれる場面だから、決して中内氏のすべてを良しとはしていない。

 読み進むうちに、中内氏は終生「よい品をどんどん安く」というダイエーの社是でもあった思いを持ち続けた経営者であったことが見えてくる。
 そのことを誰が時代遅れだと非難できるだろう。
 中内氏が戦後、そしてその成長期に蒔いた種は、今も名前や業態を変えて別々の花を咲かせているような気がする。
 やはり「広辞苑」は正しい評価をしたといえる。
  
(2018/05/24 投稿)

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