プレゼント 書評こぼれ話

  村上春樹さんは長編小説の作家と
  されることが多いかもしれないが
  数多くの短編小説も書いている。
  私はどちらかといえば
  短編小説の村上春樹さんが好きなんだが。
  その短編小説の中で
  やはり一番好きなのが
  『中国行きのスロウ・ボート』だが
  今回はせっかくなので
  『』という短編を
  読んでみました。
  あの『ノルウェイの森』のもとになった短編。
  今回久しぶりに読んでみて
  やっぱりいい。
  思わず『ノルウェイの森』が
  読みたくなりました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この卵からあの名作が誕生する                   

 この作品の初出は1983年の総合誌「中央公論」の1月号。同じような系統の「文藝春秋」でもその当時は新しい年の初めの号には短編小説を数編載せていたから、この作品もそうであったのかもしれない。
 それにしても当時の村上春樹さんは1979年に『風の歌を聴け』でデビューしたばかりのほとんど新人レベルの作家だったはずで、それがいきなりの「中央公論」の新年号だから期待大の、大型新人だったのだろう。
 編集者の期待に村上春樹さんはよく応えた。
 何しろこの短編はのちの大ベストセラー『ノルウェイの森』(1987年)となって再生されたことは有名な話。
 わずか数十枚の短編が上下巻の長編に姿を変えたのだから驚くが、それ以上に『ノルウェイの森』が持っている気分が、あるいは文学的な匂いが、この短編にもあって、さすがにあの作品の卵であるのもわかる。

 それは心を病んで主人公の前から姿を消してしまうヒロインの姿が重なるというより(もちろんそれもあるが)、村上春樹さんがいう「シンプルで、少しセンチメンタルな青春小説的な話」として二つの作品が大きさは違っても同じだということだろう。

 この短編の最後、タイトルにもなった「蛍」を夜の世界に放った主人公「僕」の、けっして指に触れない、ほんの少し先を行く「小さな光」こそ、青春期にある若者たちに共通する夢のような存在ではないだろうか。
 もし、この短編と『ノルウェイの森』をどちらを先に読めばいいかと尋ねられたら、やはりこの『蛍』だろう。
  
(2018/05/26 投稿)

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