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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  阿刀田高さんの『短編小説を読もう』にも
  あるいは
  湯川豊さんの『一度は読んでおきたい現代の名短篇』にも
  紹介されていた
  松本清張さんの短編小説『張込み』を
  紹介します。
  松本清張さんの短編小説は
  いろんな文庫本で
  さまざまな編者によって
  アンソロジーが編まれています。
  当然名作の誉れの高いこの作品は
  どのアンソロジーにも
  入っているはず。
  こういう作品を読むと
  松本清張文学に
  はまってしまうのも
  わかりますね。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  短編ながら読書の醍醐味を満喫                   

 松本清張のあまりに有名な、ある意味では芥川賞を受賞した『或る『小倉日記』伝』以上に、短編小説。
 初出は1955年の「小説新潮」12月号。
 芥川賞を受賞したのが1953年で、しかしそれでもあまり仕事は増えなかったという。そんな鬱屈した生活の中で書いた推理小説がこの作品で、その後社会派推理小説を打ち立てた松本清張の嚆矢となった。

 文庫本にしてわずか30ページほどの作品で、しかも昭和30年という時代背景ながら決して古びていないのはさすがだ。
 一人の殺人犯を追って刑事が東京から九州S市に向かう。今ならせいぜい数時間の旅だろうが、新幹線も走っていない時代、煤煙と車輪の轟音にまみれながら、事件のあらましが綴られる。
 犯人はかつて愛し合った、そして今は九州に嫁いだという女性に会いにいくのではないかと推理した刑事は、女性を張り込む。
 そうして刑事は女性の単調な日常を知ることになる。
 ところが、犯人が現われ、密会を果たした際の女性の変わりように刑事が驚く。
 刑事は女性に「火がついたことを知った。あの疲れたような、情熱を感じさせなかった女が燃えているのだった」。
 犯人は逮捕され、刑事が女に日常に戻ることを説く場面でこの小説は終わる。

 松本清張はこの女性の家庭に「一つの人生の断片的ものをすくいあげることを狙った」といい、推理小説ではないとも語っているが、物語の展開の面白さは推理小説並みであろう。
 大人が満足しうる短編小説、ここにあり、といえる作品だ。
  
(2018/05/31 投稿)

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