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プレゼント 書評こぼれ話

  丸谷才一さんが亡くなったのが
  2012年ですから
  ずいぶん年が経ったものです。
  丸谷才一さんの作品を
  読んでいきたいと思ったこともありましたが
  なかなかかないません。
  すみません、丸谷才一さん。
  今日は丸谷才一さんの作品の中でも
  評価の高い短編、
  『樹影譚』を紹介します。
  この作品にしても
  読まないといけないと思いつつ
  今になってしまいました。
  すみません、丸谷才一さん。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この短編小説には長編小説を読んでいるような面白さがある                   

 初出は昭和62年(1987年)の文芸誌「群像」4月号で、丸谷才一氏はこの作品で第15回川端康成文学賞を受賞している。
 丸谷氏の作品の中だけでなく、現代文学の中でも評価の高い作品で、短編というより短めの中編ぐらい。
 どうして、この作品の評価が高いのか。
 おそらく極めて文学的な、つまり人工的に創られて、何ごとかを伝えようとしている意識が強い作品ではないでしょうか。

 この作品は村上春樹氏の『若い読者のための短編小説案内』でも取り上げられていて、その中で村上氏は丸谷氏の文学について、「登場人物を設定し、そこに自らをはめ込んでいくことによって、小説を作り、自己のアイデンティティーを検証していこうとしているように見える」と書いています。
 それはこの短編でも踏襲されていて、ここでは古屋逸平という明治生まれの作家、しかもこの作家は全20巻にもおよぶ全集まで出しているから大家である、を村上氏のいうところの「そこに自らをはめ込んで」いき、さらには古屋氏が書いたという作品をさらに重ね、その重層感は最近の作品ではなかなか味わえないのではないか。

 そして、その重層感は長編小説の面白さでもあって、この作品が短編小説ながら評価が高いのは長編小説の面白さを内包しているせいではないだろうか。
 そのいう点では村上春樹氏の文学に似ている、年代的には逆で、村上春樹文学は丸谷才一氏のそれに似ているといえる。

 それにしても、この小説はうまい。
 こういうのがやはり文学といえるのだろう。
  
(2018/06/28 投稿)

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