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プレゼント 書評こぼれ話

  この夏の角川文庫のフェアで
  紹介されていた文庫の中に
  塚本裕樹さんの『俳句の図書室』というのが
  ラインナップされていて
  実はその文庫は
  今日紹介する『十七音の海』を
  加筆したものだそうです。
  文庫本では114句の俳句が紹介されていて
  単行本の時より10句ばかり
  増えています。
  ここで紹介されている俳句の中で
  私が気にいったのは
  山本健吉夫人の石橋秀野
  この句。

     蝉時雨子は担送車に追ひつけず     石橋 秀野

  塚本裕樹さんの解説がいい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  若い俳人、いでよ!                   

 若い人にとって、俳句という文芸はどのようなイメージであろう。
 詩人が中原中也や立原道造のように若くして夭逝した人が多いせいか、青春の文芸というイメージがある一方で、俳句は年寄りが花鳥風月を愛でて吟じている印象がある。
 明治の俳人正岡子規が34歳で早逝したにもかかわらずだ。
 一体俳句のそんなイメージはどのように出来上がったのかわからないが、案外その短詩の形、つまり五七五の「十七音」に秘密があるのかもしれない。
 つまり、若い人にはあふれんばかりの思いがある一方で、年を経ると、それが浄化されていく。それが俳句の世界を形作っているのではないか。

 実際にはそんなことはない。
 俳句の世界にも若い俳人は多数生まれている。
 本作の著者塚本裕樹氏も気鋭の若手俳人の一人だ。(といっても、1974年生まれになるからもう若手でも新人でもないが)
 そんな塚本氏が104句の名句をわかりやすいエッセイ風の文章で解説したのが本書である。
 この本では「「共感力」を養う」「「季語」の豊かさに触れる」「言葉の「技」を身につける」、そして「覚えておきたい俳句」という四つの章に分かれている。
 中でも「言葉の「技」」では俳句の特徴である「切字」や「一句一章」「字余り」といった俳句ならではの特長をわかりやすく解説している。
 この本で俳句に初めて接した若い人はなんと幸福だろう。
 きっと俳句のイメージが大きく変わるのではないだろうか。
  
(2018/08/10 投稿)

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