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プレゼント 書評こぼれ話

  今回の東海林さだおさんの『ホットドッグの丸かじり』の文庫解説は、
  作家の角田光代さん。
  そのなかで、角田光代さんはこんなことを書いています。

   言葉を扱うということの、凄みというか、覚悟というか、
   そういうものを私はこの一編に感じて打ちのめされた。


  こういう文章が書ける角田光代さんもさすがですよね。
  それにくらべて、
  私の書評は毎回軟弱で、いやはや、
  こそこそ逃げたくなります。
  まあ、角田光代さんと比べること自体が
  無謀なので、
  今回も勝手きままに書かせてもらいました。
  ところで、
  今回の表題の「ホットドッグ」ですが、
  私は長い間、「ホットドック」とばかり思っていました。
  ク、ではなく、グ。
  もう、ぐうの音もでないという感じです。

ホットドッグの丸かじり (文春文庫)ホットドッグの丸かじり (文春文庫)
(2008/11/07)
東海林 さだお

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sai.wingpen  「丸かじり」三代記                矢印 bk1書評ページへ

 世襲はむずかしい。
 先の選挙でも世襲はだめだとか、まあそうはいっても今回はいいじゃあないかと喧しいものだったが、選挙が終わったら、しーん、としてしまった。
 なんだか、またこそこそと、ひそひそと、「お父ちゃん、世襲ゆずってね」なんてねだっているのだろうか。
 別に政治家だけが世襲問題で悩んでいるわけではなくて、先代がこつこつ地道にこしらえてきたものを二代目がはちゃめちゃにしてしまうなんていうのは、たくさん目にする。

 ここに饅頭屋があったとする。(どこにあるのかと聞かれても困るが、あるものは仕方がない)
 毎週毎週こつこつと、地味に、といっても、そこは先代も馬鹿ではなく、かなりの大手の流通経路にくいこんで、なじみのお客がたくさんついている。
 屋号は、「あれも食いたいこれも食いたい」。
 れっきとした老舗である。
 この饅頭屋の二代目もそこそこやり手である。
 世間でいう、馬鹿息子ではない。
 「父ちゃん、屋号が長すぎて、お客さんが舌かんじゃってる」みたいなことを、無口な先代に進言したにちがいない。
 そして、新たな流通経路までこしらえて、「父ちゃんの丸かじり」として、まとめて売り出した。
 もともと先代の味がいいから、売れないはずはない。
 しかも、新しい屋号がうけたから、二代目も成功した。
 だから、この饅頭屋は世襲に関しては問題なかった。
 さらに、三代目が才覚に富んでいて、「父ちゃん(これは二代目のこと)、これってパッケージを変えたらもっと売れるんじゃない」みたいなアイデア商売を始めた。
 流通経路も変え、価格も低価格戦略にうってでた。
 パッケージは専門業者にお願いした。さらに、有名人のあれこれに推薦文を依頼した。
 これが評判を呼んで、売れに売れた。

 いまでは「丸かじり」というだけで、みんなが「あれはうまい」というまでの認知を得るまでに急成長している。
 世襲がこれほどうまく成功した例は、近代日本経営史でもまれである。
 今日も、先代は毎週毎週こつこつと、二代目は先代の働きに感謝しつつ、数が集まるのを待って、さらに三代目はよしよしと舌舐めずりしている。
 それでも、お客は喜んでいるのだから、こんないいことはない。
 「丸かじり」三代記は、きっと、日本のベスト世襲として、国民栄誉賞をとるにちがいない。
  
(2009/10/25 投稿)

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