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 お盆休みに読む雑誌とすれば
 「文藝春秋」などぴったりだろう。
 あの分厚い中に
 政治あり経済あり文化あり
 雑誌界の幕の内弁当なのですから。
 お昼寝の枕にするには
 少し低すぎますが。

 その「文藝春秋」9月号(文藝春秋・980円)は
 なんといっても
 第159回芥川賞受賞作全文掲載号ですから
 これを楽しみにしている、
 つまり私ですが、
 みたいな人も多いと思います。

  

 今回の受賞作は
 高橋弘希さんの『送り火』。
 ただ受賞作より
 盗用かいなかで問題となった作品の方に
 視線がいってしまったのは
 残念ですが。
 今回の芥川賞選評では
 各委員がこの問題に触れています。
 また、選考委員の一人島田雅彦さんが
 「フィクションと盗用、選考委員はこう考える」という
 特別寄稿を寄せています。

 その中で
 島田雅彦委員は冒頭、
 問題となった北条裕子さんの『美しい顔』が
 「盗用」ではないということで
 全委員が一致したとしています。
 私はこの作品を読んでいないので何ともいえませんが
 この作品を候補作に選んだ時点で
 問題があったような気がします。
 「盗用」ではないと選考委員はしたとしても
 この作品を読んで
 「あれ? これって盗用?」と感じた人がいたことは事実で
 だから問題になった訳で、
 引用・参照のマナーが欠けていたではすまない問題のように
 思います。
 問題となった時点で
 候補作を取り消すなどのことも
 検討すべきだったのではないでしょうか。
 また、この作品は東日本大震災のことを描きながら
 著者が「被災地に行っていない」ということも
 問題になりました。
 そのことにふれ、
 島田雅彦さんは
 開高健の『輝ける闇』を取り上げています。
 『輝ける闇』はもちろん開高健の代表作のひとつで
 開高健がベトナム戦争に従軍してはじめて書き得たといっていい
 作品です。
 この作品について
 あの三島由紀夫が「行かなくとも書けた」と言ったそうです。
 小説は創作ですから
 行けなくても書けるでしょうし、
 経験しなくても書かないといけない。
 だって、そうでないと
 殺人事件を扱った推理小説など
 書けなくなってしまいます。
 けれど、取材したことによって
 島田雅彦さんが言うように
 「書く強烈なモチベーションンになる」のは事実だと思います。

 芥川賞だけで
 これだけのことが
 今月号の紙面にはあります。
 きっと
 「文藝春秋」9月号だけで
 お盆休みは終わってしまいそう。

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