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  今本屋さんに行くと
  池井戸潤さんの新作『下町ロケット ゴースト』が
  どーんと平積みされています。
  さらに同シリーズの2作めにあたる
  『下町ロケット ガウディ計画』も文庫化されて
  こちらもどーんと積まれています。
  池井戸潤さんの人気は
  衰え知らずといえますね。
  せっかくなので
  池井戸潤さんが
  第145回直木賞を受賞した
  『下町ロケット』から順に読んでいこうと
  思っています。
  読む前から
  楽しみです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちに勇気と感動をくれた                   

 第145回直木賞受賞作。(2011年)
 この年の3月東日本大震災が起こって日本全体が打ちひしがれていた状況の中で、池井戸潤さんの代表作ともいえる、東京の下町の町工場の社長である佃航平とその工場で働く人々の姿を描いた長編小説が直木賞を受賞した意味は大きい。
 振り返ればあの年、女子サッカーのなでしこジャパンが女子ワールドカップで優勝をし、どれだけ私たちに勇気と感動を与えてくれたか。同じ夏、池井戸の作品が直木賞を受賞したことで、同じような感動を覚えた人も多かったにちがいない。
 選考委員の一人伊集院静氏は「さまざまな事情を抱えた今夏の日本に活力を与える小説」と選評で記したし、桐野夏生委員は「震災後の日本の姿を、是非、池井戸さんに書いて頂きたいと願う」とした。

 この作品をきっかけにして、池井戸さんの作品はデビュー作から見直されていくことになる。あるいは、「半沢直樹」シリーズのように映像化と相まって、多くの読者を獲得していく。
 受賞作となったこの作品ものちにテレビドラマ化され、ドラマのインパクトが小説の展開とリンクして、小説単独では味わえない面白さを、受賞から7年も経っても、味わうことができるのはうれしい。
 ただ林真理子委員が「登場人物のすべてがステレオタイプなのが気にかかった」と選評で書いているように、もしかしたら池井戸さんの作品がドラマ化されて面白いのは、そういう点があるともいえる。

 この時の選考会で「わたしはここまで読みものに堕したものは採らない」と否定的意見を述べたのは渡辺淳一委員だが、私は決してこの作品を「堕したもの」とは思わない。
 「読みもの」であってもいいものは、いいのだから。
  
(2018/08/18 投稿)

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