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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  柚月(ゆづき)裕子さんの『慈雨』という
  長編ミステリーを紹介します。
  この作品は
  岩手のさわや書店田口幹人さんや松本大介さんが
  絶賛していて
  それに惹かれて読んでみました。
  柚月裕子さんも
  岩手県の出身です。
  こういう作品を読むと
  若い頃にもっと読んでいたら
  もしかしたら
  自分の人生も変わっていたかもなんて
  思ったりします。
  いい作品でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  これはあなたにとって恵みの雨となる作品になるか                   

 時々、美しい日本語に胸をつかれることがある。
 「慈雨」、じう。これもそんな美しい日本語の一つだ。
 調べると、「万物を潤し育てる雨。また、日照り続きの時に降る雨」とある。いわゆる、恵みの雨だ。
 この長編ミステリー小説の主人公、神場智則にとって、何が「慈雨」であったのだろう。

 神場は三月に60歳で42年働いた警察官を定年退職した男だ。
 42年の間で経験したさまざまなことを顧み、妻香代子と四国巡礼の旅に出た。神場には妻にも話していない過去があった。
 それは16年前の少女殺人事件だ。
 事件は犯人逮捕で決着したはずであったが、そのあと神場は犯人の男にアリバイがあったという証言に遭遇する。だとしたら、これは冤罪。上司とともに捜査のやり直しを上層部に願い出るが、却下され、神場は引き下がるしかなかった。
 神場はそのあと、しばしば少女が出て来る悪夢に悩まされる。そのこともあっての巡礼行だ。
 そんな時、また少女誘拐殺人事件が起こる。
 犯人は、もしかすると、あの時の新犯人かもしれない。
 巡礼の旅を続けながら、後輩の刑事にアドバイスをする神場。
 もしその男が16年前の真犯人だとすれば、神場もまた責任を追及されるかもしれない。
 けれど、神場はそんな弱いおのれと決別する。
 犯人はつかまるか。
 神場の巡礼の旅と、犯人逮捕のその時が重なるように動いていく。

 主人公の神場にとっての過酷な運命はこの物語の終焉後始まるのであるが、そこまで作者は描くことはない。
 神場の悔いを洗い流してくれた「慈雨」は、逃げなかった自身だったのかもしれない。
  
(2018/09/12 投稿)

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