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プレゼント 書評こぼれ話

  私たちの世代からいうと
  今日9月15日は敬老の日ということになります。
  10月10日なら体育の日というように。
  ところが休みを長くとるように
  そういう祝日が動くということになってしまって
  なんだか敬老の日といわれても
  いつなのか
  よくわからなくなりました。
  ちなみに今年の敬老の日
  明後日17日です。
  今日は
  沢木耕太郎さん編の
  『山本周五郎名品館Ⅲ 寒橋』を
  紹介します。
  今の季節の読書に
  ぴったしの一冊です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  この巻全作読ませます泣かせます                   

 ノンフィクション作家沢木耕太郎さんによる文春文庫オリジナルの山本周五郎短編選集全4巻の3巻め。
  表題となった「寒橋」(「さむさばし」と読む)は山本周五郎の創作の橋の名ではなく、現在の築地のそばの一角にあった明石橋の俗称のことだと、巻末の沢木さんの「解説エッセイ」に書かれている。
 何故沢木さんがそこにこだわるかというと、沢木さんの本籍が小説の中にも登場する小田原町で、沢木さんの父親はそこに住んでいたという。
 そういう因縁の地が舞台の短編「寒橋」は、沢木さんのそういう思いとは別に深い父と娘の情愛にあふれた作品である。

  この3巻めには、掲載順に「落ち梅記」「寒橋」「人情裏長屋」「なんの花か薫る」「かあちゃん」「あすなろう」「落葉の隣り」「茶摘は八十八夜から始まる」「釣忍」の9篇の短編が収められている。
  「寒橋」もいい短編だが、この巻でいえばなんといっても「かあちゃん」であろうか。(「人情裏長屋」も好きだし、名作『さぶ』の世界を短編にしたような「落葉の隣り」もいいし、「落ち梅記」だって外せない。つまりはこの巻はほぼ全作いい)
 「かあちゃん」は沢木さんに言わせると「よくある人情話のように見えて、これほど完璧に、これほど美しく仕上げられた例を知らない」と絶賛である。
 貧しい長屋暮らしの中でこれほど美しい家族があろうか。これは山本の創作かもしれないが、こういう「かあちゃん」とこういう家族がきっといると信じたくなる。

 最後の「釣忍」は「シダ植物のシノブグサの根や茎を束ねて、緑葉の涼しさを楽しむ」もので、夏の季語にもなっている。それがうまく作品に生かされている。
  
(2018/09/15 投稿)

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