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プレゼント 書評こぼれ話

  山本周五郎にこんな作品もあるのかと
  いささか驚く人もいるかもしれません。
  でも、さすがに山本周五郎だけあって
  色々な人のありようを
  描いた一篇だともいえます。
  それがこの「」(あざみ)という
  短編小説です。
  この作品を読んでみるきっかけは
  書評にも書きましたが
  沢木耕太郎さんの文庫解説を読んでということ、
  それと
  「キャロル」という
  2016年に公開された映画の素晴らしさに
  影響されたともいえます。

  

  愛というのは
  異性であれ同性であれ変わらない、
  映画「キャロル」のそんなメッセージに
  強く惹かれたせいだと思います。
  「」は新潮文庫の『松風の門』という短編集に
  収録されています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  山本周五郎異色のレズビアン小説                   

 沢木耕太郎さん編による文春文庫オリジナルの『山本周五郎名品館』という全4冊の短編集の解説に、沢木さんがこの短編集には選ばなかったが山本周五郎の作品の中でも異色の作品があるということが書かれていて興味を持ったのが、この「薊(あざみ)」という短編である。
 昭和34年(1959年)の「小説新潮」一月号に発表された、文庫本で34ページほどの短編である。

 どう異色かというと、ここに登場する武家の妻がレズビアンという設定なのだ。もちろん、山本の作品の中にその言葉は出てこないが、実は「薊」というタイトルには「実が生らない」という薊の花の特性が込められている。
 主人公加川の妻「ゆきを」は夫と寝床を同じにすることを避け、時に病気といつわりお側の女人と身体を交わらせている風でもある。
 その現場に何度か加川自身が出くわすのだが、彼は「ゆきを」の思いを理解することはない。

 木村久邇典の文庫解説によれば、山本にはいくつかの「官能的な作品」があり、「肉感的な描写を積み重ねながら」もポルノ小説とは「類を異にする」のは、山本の作品が小説の基本である「人間把握」がしっかりなされていることを挙げている。

 この小説は題材の異色性だけなく、その構成も複雑に編まれていることに読者はとまどうかもしれない。
 過去と今が複雑に絡み合っていて、短編ながらも時制の妙で作品に奥行きが生まれているといっていい。
  
(2018/10/18 投稿)

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