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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は木内昇さんの
  『火影に咲く』という
  短編集を紹介するのですが
  幕末を舞台にした小説は
  すでに多くの作品で描かれていても
  まだこうして新しい作品が
  生まれるんですから
  なんともすごい時代ですよね。
  日本の歴史の中でも
  とても稀有な時代では
  ないでしょうか。
  この短編集でも
  坂本龍馬とか中村半次郎とか出てきますが
  決して古びていないのですから
  木内昇さんの筆力に
  感心しました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  いのちをかけた男がいて、いのちを願う女がいる                   

 タイトルに使われている「火影(ほかげ)」とは、「ともし火に照らされて映し出された姿や影」ということらしい。
 『漂砂のうたう』で第144回直木賞を受賞した木内昇(女性作家で、昇はのぼりと読む)さんのこの短編集は雑誌「小説すばる」に不定期に掲載された6つの短編を収録している。
 初の「紅蘭」が2009年の掲載で最後の「光華」が2017年の掲載だから、作者の木内さんにこのような「火影」に揺れる人たちの有様をまとめる意図が最初からあったかどうかわからないが、こうしてまとまると、まさに「火影」という言葉が当てはまる作品集になったといえる。

 攘夷派にしろ佐幕派にしろ誰も彼もが熱くたぎっていた幕末の京都を駆け抜けた6組の男女。
 例えば、新選組の沖田総司と労咳を病んだ老女布来。あるいは、長州藩の若者吉田稔麿と料亭のてい。
 さらには坂本龍馬の生き様に嫉妬する岡本健三郎と亀田屋の娘タカ、また「人斬り半次郎」と怖れられた中村半次郎と煙管店の娘おさと、といったように、志士たちが火であるならば、それに寄り添うように女たちはひっそりとそこにいる。

 特に最後に収められた「光華」は中村半次郎の純な恋心を描いて秀逸だ。
 半次郎が想いを寄せる煙管屋の娘おさと。おさともまた半次郎に恋心を寄せ、おさとの父親は娘の気持ちを察して半次郎に嫁にもらって欲しいと願う。
 自分の気持ちをわかりながらも倒幕という大きな歴史の流れに生きようと決心した半次郎はすげない態度でおさとに別れをつげる。おさともまたつらい仕打ちを忍んで受けとめる。
 この短編だけでも(もちろん全編がいいだろうが)ドラマ化してもらいたいくらいだ。
  
(2018/10/26 投稿)

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