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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は勤労感謝の日

    旅に出て忘れ勤労感謝の日     鷹羽 狩行

  最近は人生100年時代ということや
  少子化の影響とかで
  定年延長や高齢者の勤労者が
  増えているので
  もっとこの日は大事にしたいものです。
  今日は昨日につづいて、
  宮本輝さんの作品を
  紹介します。
  「胸の香り」という短編小説です。
  宮本輝さんの作品は
  本当に本が出るたびに
  夢中になって読んだものです。
  そんな振り返りの気分で
  もう少し宮本輝さんの作品を
  読みたいと思ったりしています。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  一瞬の技で読み手を斬る                   

 宮本輝は長編小説の作家といえる。それでも短編小説をまったく書いて来なかった訳ではない。
 1996年に刊行された『胸の香り』という短編集(この短編はその表題作になる)の「あとがき」で、宮本は小説家になって20年になろうとしているが短編小説は36篇と記している。
 もちろんそれから20年以上経って、宮本の執筆活動もさらに長くなっているが、短編小説でいえばそれほどたくさん書いてこなかったのではないだろうか。
 この短編集を編んだ頃と同じ覚悟が、宮本にはあるような気がする。

 覚悟。それは宮本が若い頃小説を指導してくれた人に言われた、30枚でちゃんとした短編が書けない作家は所詮二流という言葉が、宮本の中に「犯しがたい約束事」となった。
 まさに一瞬の居合いのような境地だ。
 この、短編集の表題作となった作品も、文庫本にして20数ページしかない。
 それでいて、自身の出生と母と父との、つまりは宮本が長編小説でも度々描いてきた家族と命のいきざまのようなものを、これでもかといわんばかりに押し込めている。

 亡くなった母が生前入院していた病院にパン屋の妻が入院していた。
 その妻を見舞う夫の匂いが今はいない父の「胸の香り」と同じではないか、と退院してから母は言い出す。
 ずっと昔、父はどうやら若い女を囲い、その女にパン屋をさせていたらしい。しかも、男の子までもうけたと、母は疑っている。
 そんな父と同じ匂いをもったパン屋の男。主人公の私は母の言葉を疑いながらもそのパン屋に通い出す。
 そんな物語の最後に仕掛けられたわずかな罠。
 まさにそこから父の香りが立ち上がるような短編に仕上がっている。
  
(2018/11/23 投稿)

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