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プレゼント 書評こぼれ話

  昨年(2018年)
  第22回となる司馬遼太郎賞
  朝井まかてさんの『悪玉伝』が
  受賞しました。
  それを聞いた時
  ちょっと早いのでは、と思いましたが
  今日紹介する
  朝井まかてさんの最新短編集『草々不一』を読んで
  朝井まかてさんが
  ほとんど完成した作家になっていることに
  気付かされました。
  この短編集、絶対オススメです。
  ところで、
  タイトルとなった「草々不一」は
  手紙のおわりに
  十分に思いを尽くすことができなかったことを
  わびる結び語で使われる言葉です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  大向こうから声がかかる                   

 朝井まかてさんが『恋歌』で直木賞を受賞したのが2014年。受賞が第150回ということもあってさまざまなイベントが開催され、私も東京大手町で開かれたイベントを見に行ったことがある。
 その会場で直木賞選考委員の一人北方謙三氏がこれからが大切と、当日会場に姿を見せていた朝井さんに、不安の混じった激励をされていたのが印象に残った。その時、朝井さんがなんと答えたか、とんと覚えていない。
 受賞作『恋歌』が骨太の歴史小説だったがゆえの北方氏のコメントだったと思うが、それからわずか5年足らずにして、朝井さんのこの短編集を読み終わって、朝井さんはこんなにも巧い作家だったのかと、改めて驚きとともに吐息の出るくらい感嘆した。

 表題作の「草々不一」は、妻に先立たれた忠左衛門は武芸一筋に生きてきて、漢字すら読めない初老の武士だ。そんな忠左衛門に亡くなった妻は一通の手紙を残す。しかし、彼は読めない。何やら妻の不義の始末でも書かれている気配すらあるというのに。
 隠居生活に入っている忠左衛門は一大決心をして、子供たちに混ざって字を学ぶことになる。そして、3年。彼はようやく妻の手紙を読むことになる。
 そこに書かれていた、妻の想い。それを知った忠左衛門の想い。
 死してもなお、交差する二人の想いに胸をうたれる。

 全部で8篇の短編が収められたこの集はどれをとっても秀逸なのだが、一押しは若い頃の恋心をひたすら押し隠した女の仕合せを見事に描いた「蓬莱」だ。
  
(2019/01/12 投稿)

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