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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  先週に続いて
  山本周五郎の『樅ノ木は残った』の中巻
  今私が読んでいるのは
  平成30年9月の出たばかりの
  新潮文庫改版なのですが
  これは文字のポイントも大きく
  とても読みやすい版になっています。
  昔読んだ文庫本などを開くと
  その文字のあまりにも小さいことに
  驚くこともあります。
  改版で
  このように文字を大きくしてくれるのは
  私のような世代には
  とてもありがたいことです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  物語から目が離せられない                   

 山本周五郎の言うまでもない、代表作のひとつで、長編歴史小説である。
 平成30年秋に改版された新潮文庫では上中下の三分冊になっていて、これがその中巻。
 この長編歴史小説が江戸時代前期に実際にあった「伊達騒動」を題材としていることはすでに書いたが、この小説の面白さは騒動の真実が明らかになる面白さというよりも、物語がもっている緊張と緩和の面白さといっていいように思う。

 その顕著な例が、新潮文庫改版の中巻の冒頭にある「第二部 くびじろ」の章ではないだろうか。
 ここでは主人公である原田甲斐が自分の領地である船岡に戻り、その山奥で鹿猟をする姿が描かれている。「くびじろ」というのは原田が長年追い続けた大鹿で、ついに原田はくびじろを射止める奇遇を得る。
 大鹿と対峙しながら原田の心に去来するのは、自分は間違って生まれたという後悔。伊達藩の大家に生まれたが自分が欲したのは、野を駆け、動物たちと共に生きることではなかったかと。

 この章は「伊達騒動」を描くということではあまり必要性を感じないにも関わらず、この章があるから、そして、この章のような枝葉が実に見事であるゆえに、この長編小説はとてつもなく面白いのだといえる。

 「くびじろ」という章はまるで一篇の短編小説を読むが如くで、読書の面白さがここにはふんだんに盛り込まれている。
 同時代的にこの小説を読んでいた人にとっては、たまらなく幸福の時間だったのだと思える。
  
(2019/03/02 投稿)

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