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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日三浦しをんさんの
  『本屋さんで待ちあわせ』という
  書評本を紹介しましたが
  書評といえば
  丸谷才一さん。
  丸谷才一さんが亡くなったのは
  2012年10月で
  もう7年近くなります。
  それでも
  丸谷才一さんが
  書評文化に残された功績は
  今でも色褪せるものではありません。
  今日は
  丸谷才一さんの書評本
  『快楽としての読書 日本篇』を
  再録書評
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  犬も歩けば書評にあたる                   

 丸谷才一さんは書評の特長として、まず内容の紹介であること、評価がきちんとされていること、文章として読む楽しみがあること、そして批評性、その四つをあげている。
 この本ではそんな丸谷さんの書評が122篇収められている(この巻では日本の作者による本、[海外篇]で外国の作者によるものと分冊になっている)。
 これだけの量ともなると、書評といってもいささか食傷ぎみになるものだが、そこはなんといっても丸谷さんの書評である。読み物として完璧なのだ。
 ここで取り上げられているのはさまざまな本で内容的には一般読者として難しいものもかなりあって、内容の紹介、評価といわれてもついていくのも大変だ。それを一気に読ませるのは、丸谷さんの筆の力といっていいだろう。

 どの書評も書き出しがいい。
 いったいにいい文章というのはまず読者をうまくひきつけるものだが、書評であっても文章の魅力は書き出しといいたいくらいに、丸谷さんはうまい。
 直球勝負の時もあれば、変化球でいなしてそのあとずばんとど真ん中へというのもある。あるいは、最初からつり球というのもあり。書評というよりも読み物として、書き出しは重要という見本。
 終わりもいい。褒めるのも貶すのもいい。貶すにしても優しさがあり、褒めるにしても節度がある。それでいて、終わりはいさぎよく直球のみ。読み手を迷わさない。
 では、真ん中はどうなんだといわれたら、丸谷さんの才が勝ちすぎて四苦八苦。快刀乱麻の配球に唖然と見送ることばかり。

 それとタイトルのつけかたが絶妙だ。
 井上ひさしの『私家版日本語文法』には「黒板のない教室」、高田静の『さつまあげの研究』には「西郷も大久保も食べた」と、こういうタイトルなら読む前から食指をそそられる。
 芥川賞の選評などでよくもう少し題名のつけかたに工夫をしたらと書かれることがあるが、実作者たちも丸谷さんの書評タイトルでもう少し勉強した方がいいかも。

 この[日本編]には書評のほかに「書評のある人生」としてまとめられた文章が三篇収められていて、日本の書評事情がよくわかる。もちろん、丸谷さんが大いに書評文化を喧伝した功績も大きい。
  
(2012/08/25 投稿)

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