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プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  木内昇さんの
  『茗荷谷の猫』は
  湯川豊さんの『一度は読んでおきたい現代の名短篇』で
  取り上げられていたものです。
  湯川豊さんの本では
  「染井の桜」という
  この作品集の冒頭の短編が紹介されていましたが
  連作短編集なので
  せっかくだからと
  全短編を読みました。
  もちろん、
  一つの短編小説として読むことも可能ですが
  やはり連作ならではの
  作者の思いもあるので
  全部を読み切る方が
  いいと思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  時代はどんなに変わろうが                   

 2008年に発表されたこの連作短編集の著者木内昇(のぼり)は、2011年に『漂砂のうたう』で第144回直木賞を受賞することになる。
 直木賞受賞後も独特の世界観で人気のある女性作家だ。
 この連作短編集がその萌芽であったとも評価されている。

 この作品集には9つの短編が収められている。
 主人公も内容も全く独立していながら、時に他の短編の登場人物がちらりと視界を横切るのは連作の面白さである。
 それ以上にこの作品集が連作である由縁は、物語の舞台となる土地にある。
 表題作の「茗荷谷の猫」にある茗荷谷とは東京・文京区にある東京の隠れ里のような一角だし、その他の短編にも巣鴨染井(「染井の桜」)、品川(「黒焼道話」)、本郷菊坂(「隠れる」)、池之端(「てのひら」)など東京の土地が舞台となっている。
 かっこの中が作品名であるが、むしろその土地の名前の色濃く匂い立つ。

 そして、もうひとつが9つの作品がそれぞれの時代を描いていて、冒頭の「染井の桜」はソメイヨシノを生み出した無名の植木職人の話だがこれは幕末のこと、そこから順にそれぞれの時代背景がさかのぼって、最後の短編は先の東京オリンピックの競技場が建設中とあるから、昭和30年後半。

 そうなるとこの連作集は土地と時代を描いたもので、どんなに時代が変わっても人間の営みとはそんなに大きく変わるものではない。
 何か変わった風貌をしていても、土地や時代の中に入れ込めば、ちっとも変わるものではない。

 9つの短編では、東京にいる娘をたずねて上京してきた母親と娘の葛藤を描いた「てのひら」がいい。
  
(2019/04/30 投稿)

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