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プレゼント 書評こぼれ話

  山本周五郎を読み始めて
  そんなに経っていませんが
  なんだか
  自分の中にもすっかり定着してきた
  そんな感じがします。
  それにしてもすごいのは
  山本周五郎が亡くなったのが
  1967年2月14日で
  すでに没後半世紀以上になりますが
  こうして今でも新しい本が
  さまざまに形を変え
  出版されることです。
  今日はその中から
  講談社文庫の『失蝶記-幕末物語』を
  紹介します。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  イチオシはやはり「城中の霜」かな                   

 山本周五郎の時代小説といえば武家ものであったり下町人情噺というイメージが強いから、触れれば血しぶきがあがったり血走った眼付の志士たちが闊歩する幕末にはあまり縁がないように思っていた。
 ところが講談社文庫の一冊として編まれたこの短編集は「幕末物語」とあるように、山本周五郎のたくさんの短編から幕末期を舞台に描かれた八篇の作品を収めていて異色といっていい。
 しかもその初出は昭和二年に村上幽鬼という別の筆名で発表された「染血桜田門外」から昭和三十四年に発表された表題作の「失蝶記」まで、その初出の年度も広く、さまざまな時期の山本周五郎を味わえるようになっている。

 先に書いた昭和二年の「染血桜田門外」は幕末の有名な桜田門外の変を描いた短編だが、その文体は物語というよりも講談に近く、山本周五郎になる前の孵化寸前の書き手の勢いを感じる。
 「失蝶記」は固い友情で結ばれた友を仲間の裏切りによって誤って斬ってしまった男の無念の胸のうちを、友の許嫁に宛てた手紙の形で描いた佳品で、そこにはその許嫁へのほのかな思いもうかがえて胸を打つ。
 これは幕末の長州藩の勢力争いも裏にはあるが、そんな殺伐とした時代にあっても、人が人を恋する気持ちを描いて、山本周五郎らしい世界となっている。

 その他にも安政の大獄で死罪となった橋本左内の最期の姿をめぐる名作「城中の霜」や甲州勝沼での武士の横暴に立ち向かう若き武士の姿を描いた「米の武士道」など、山本周五郎の世界が存分に楽しめる一冊になっている。
  
(2019/05/25 投稿)

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