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プレゼント 書評こぼれ話

  今東京・上野の国立西洋美術館
  「松方コレクション」展が開催されています。
  それと時を同じくして
  原田マハさんが上梓した新作が
  『美しき愚かものたちのタブロー』で
  この作品こそ
  どのようにして「松方コレクション」が生まれ、
  今私たちがそれを鑑賞できるかを
  描いたものです。
  この作品を読んで
  展覧会に行けば
  きっと作品をもっと深く鑑賞できるのでは
  ないでしょうか。
  そして、
  この作品は第161回直木賞候補作ですが
  直木賞の発表まで一週間をきって
  原田マハさんの受賞はあるでしょうか。
  それも楽しみです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちが名画を鑑賞できるのは                   

 第161回直木賞候補作。(2019年)
 巻末に「この物語は史実に基づくフィクション」とある。
 登場人物の誰がフィクションなのか詳しくはわからないが、上野にある国立西洋美術館の礎を作った、いわゆる「松方コレクション」の生みの親松方幸次郎はそのままの名前で登場する。
 主人公的な存在として描かれる美術研究者田代雄一だけは名前を変えられて描かれている。
 そのモデルは美術史家の矢代幸雄と思われる。
 モデル探しをしているのではない。
 この長編小説に描かれた世界そのものを読者は堪能すればいいのだし、「松方コレクション」がどのような意図で生まれてき、戦火の中をどのように生き、戦後日本に戻った経緯を、スリリングな物語として読み切ればいい。

 松方幸次郎が絵画を買い集めた理由を、「欧米に負けない美術館を日本に創り、そこにほんものの名画を展示して、日本の画家たち、ひいては青少年の教育に役立てたいと願ったから」と、この物語で記される。
 もっとも松方はもともとそういう高尚な考えを持っていたわけではない。
 松方の心をひきつけた絵画(タブロー)があったからだし、この作品の中でしばしば具体的な作者と作品名をあげてその前で心を揺さぶられる登場人物の姿を、原田マハさんは描いている。
 絵画(タブロー)の前で敬虔な気持ちで立ち尽くす人たち。そんな人物を描かせれば原田さん以上の書き手は今はいないのではないだろうか。
 アート小説として、この作品は今までになく重厚な構成で作品の奥深さを感じた。

 単行本の表紙装画がいせひでこさんの作品だということを書き加えておく。
  
(2019/07/11 投稿)

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