FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  春に世田谷文学館で開催されていた
  「萬画家・石ノ森章太郎」展に行ったことは
  このブログでも書きました。
  そのあと、その時の展覧会のサブタイトルでもあった
  『ボクはダ・ヴィンチになりたかった』という本も読んで
  その書評も書きました。
  今日紹介する『章説 トキワ荘の春』は
  ちょうどその続編にあたる作品です。
  タイトルにある「トキワ荘」は
  石ノ森章太郎だけでなく
  赤塚不二夫藤子不二雄といった
  巨匠たちと育てた有名なアパートです。
  昭和30年代前半、
  時代も彼らも若かった。
  これはそんな時代の物語です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「トキワ荘」には青春があった                   

 石ノ森章太郎が亡くなったのは1998年1月28日で、まだ60歳という若さであった。
 この本はそれから10年後の2008年に石ノ森の生誕70年を記念して出版された1冊で、もとは1981年に刊行された『章説・トキワ荘・春』である。
 石ノ森にはこの「トキワ荘」前史といえる子供時代を描いた自伝がある。それが『ボクはダ・ヴィンチになりたかった』で、その本では漫画家になるべく上京するところまでが描かれているから、それに続く「青春篇」にあたるのが本書だ。

 石ノ森の東京上京については両親は強く反対したようだ。
 唯一の理解者が姉由恵であった。
 その姉は小さい頃から病弱で、この本の書き出しは「姉が死んだ。」というショッキングな文章から始まる。
 石ノ森が二十歳になったばかり、姉は23歳だった。
 その時、石ノ森の東京での住まいは東京・豊島区椎名町にあった「トキワ荘」。
 当時の「トキワ荘」には石ノ森をはじめ、赤塚不二夫、藤子不二雄といったその後の漫画界を牽引する漫画家たちが暮らしていた。
 石ノ森の姉由恵はそんな若い才能たちのマドンナ的存在でもあった。

 石ノ森のこの「章説」にはそんな姉とも思い出だけでなく、石ノ森のまわりにいた若い漫画家たちの、時にこっけいな、時に切ない思い出話がたくさんちりばめられているが、その一方で昭和30年代前半の漫画界の事情も描かれている。
 まだ売れる前の貧しい暮らし。けれども彼らは若かった。

 石ノ森はこの本の終りに「マンガとは青春時代そのもの」と書いている。
 「トキワ荘」の時代が今でも多くの若者たちに人気があるのは、まさにそこが青春の砦であったからではないだろうか。
  
(2019/07/26 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/4030-a9e69a95