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プレゼント 書評こぼれ話

  朝井まかてさんの作品は
  割とチェックしていて
  結構読んでいると思っていましたが
  やっぱりそれでも
  見落としている作品もあって
  今日紹介する『残り者』も
  そんな一冊です。
  双葉文庫の新刊で見つけて
  こういう作品があったことに
  やっと気づいた次第。
  好きな作家の場合
  アンテナは高く立てているつもりなのですが。
  まあ文庫本で初めて出会うというのも
  なかなかうれしいことではあります。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  「大奥」大解剖                   

 その名前は知っていても、それが一体どのようなものなのか知らない人も多いのではないか。
それが、「大奥」。
 直木賞作家朝井まかてが2016年に発表したこの物語の中でも、登場人物がこう言う場面がある。
 「女中の誰もが上様の御手付きであるかのような見方をする者さえいる。世間は大奥のことなど、まったくわかっておりませぬ」と。
 だったら、わかるように書いてみましょうと、朝井が選んだのが「大奥」最後の日。
 つまり、幕末の江戸城無血開城により「大奥」から女たちが立ち退く慶応4年(1868年)4月10日の、誰もいなくなった「大奥」を描くことで、その佇まい、そこで生きた女たちの息遣いを描いてみせたのが、この作品である。

 誰もいなくなってしまえば、「大奥」を視る視点がなくなるので、朝井はこの日ここを立ち退こらなかった5人の「残り者」にその役目をさせる。
 例えば、「呉服之間」のりつ。「呉服之間」とはりつが仕えた天璋院の衣服のあれこれを行った女たちがいたところ。
 こういうふうに登場人物に役割を与えることで「大奥」の組織がわかっていく仕掛けになっている。
 さらにりつが天璋院の側であるように、それと対抗させて皇女和宮(静寛院)側の同じ役目の女もみぢを描くことで、天璋院と静寛院が「大奥」を去るにあたって為したことなども描いてみせる。

 そういう歴史的な面白さはあるが、やはり朝井が描きたかったのは「大奥」そのもののような気がする。
 女たちの、あれだけの大所帯、わからないではもったいない。
  
(2019/07/31 投稿)

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