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プレゼント 書評こぼれ話

  本屋さんには
  毎週一度行きます。
  面白そうな、新しい本は出ていないか
  確認しています。
  一度読んだ本と新しい、未読の本となると
  どうしても読んだことのない本に
  手が出てしまうのですが
  できるだけ
  再読も心掛けたいとも
  思っています。
  葉室麟さんが亡くなって
  もう2年近くになりますが
  葉室麟さんの作品などは
  再読したいところ。
  今日は葉室麟さんの直木賞受賞作
  『蜩ノ記』を再読で。
  私と葉室文学の出会いは
  まさにこの作品からでした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  再読して見えてくる重厚さ                   

 第146回直木賞受賞作。(2012年)
 いうまでもなく葉室麟の作家としての地位を固めることになった出世作である。
 5度目の候補での受賞で、受賞が決まった際には「ほっとしました。もうこれで直木賞候補にならなくてすむのが一番嬉しい」と語っている。
 それはおそらく葉室の本音であったろうが、同時にいくつまで小説を書けるだろうという不安と焦りもあったにちがいない。
 葉室がその後2017年に急逝したことを思い合わせると、この受賞の際には書きたい思いがひたすらであったのではないだろうか。

 この作品は葉室が生み出した架空の藩羽根藩を舞台とする時代小説である。
 この作品のあと羽根藩を舞台とした作品が数作描かれることになるが、今回改めて読んでいくと、実に細やかに藩の造形が作られていることに気づかされた。
 おそらく作品と仕上げていくまでに、葉室は城下の町のありさまや主人公である戸田秋谷が幽閉されている村の配置など念入りに作り出したのだろう。
 さらには秋谷が策略により罰を受け、その刑として藩の家譜をまとめるという作業では、藩が誕生してからのさまざまなことを作品にするまでに持っていたのであろうと思う。
 もちろんそれは秋谷や彼を監視する役を仰せつかりながら秋谷に魅かれていく檀野庄三郎といった登場人物でもそうで、その履歴を葉室はきちんと準備していたにちがいない。

 この作品はそういう葉室の生真面目さが成功したといえる。
 直木賞受賞の選評で伊集院静委員は「修練を積んだ作家の技」と評し、「これからもおおいに読者を愉しませてくれるはず」と記した。
 まさにそのようにして、葉室麟は風のように逝ったのだと、改めて思う。
  
(2019/08/28 投稿)

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