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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は震災記念日
  いうまでもなく関東大震災が起こった日です。

    江東にまた帰り住み震災忌     大橋 越央子

  大正12年のことですから
  あれから96年になります。
  その震災を描いたのが
  吉村昭の『関東大震災』。
  教科書的に大きな被害のことや
  朝鮮人への虐待や大杉栄事件などを知っていましたが
  この本を読んで戦慄させられました。
  あの時のことを忘れないためにも
  この本は欠かせない一冊だと思います。
  今日の書評タイトルは
  寺田寅彦の言葉として伝わっている名言です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  天災は忘れた頃にやってくる                   

 大正12年(1923年)9月1日午前11時58分。
 相模湾を震源とする大規模な地震が関東地方を襲った。のちに「関東大震災」と呼ばれることになる大災害である。
 これは吉村昭がこの震災をもとに手がけた記録文学である。
 吉村は昭和47年から48年にかけてこれを執筆、その年この作品などの一連の執筆により第21回菊池寛賞を受賞している。

 文学としてこの作品の評価が高いのは、構成の巧さであろう。
 冒頭にこの大地震にさかのぼる大正4年に関東で発生した群発地震の模様を描く。一見あまり関係のないような挿話で始めて、これが地震学者間の対立となって続く。
 一方は近い期間での大きな地震とそれによる被害の大きさ、一方はまだまだ大きな地震が来ないという。しかも、もし地震があったとしても「道路もひろく消防器機も改良されている」から江戸時代のような大災害にはならないという説。
 しかし、実際にはそれは気休めに過ぎなかった。
 関東大震災の犠牲者は10万とも20万ともいわれる。
 吉村は時に当時の人たちの証言を織り込みながら、冷静に沈着に被害の模様を描いていく。
 特に当時の東京市の死者の半分以上の3万人以上がそこで亡くなったという本所被服廠跡での痛ましい状況である。
 さらに、吉村はこの大震災がもたらした朝鮮人への暴力や大杉栄事件を描いていく。
 あるいは犯罪の多発についても、吉村は冷静に見つめる。

 関東大震災は自然災害としての被害も大きかったが「人心の混乱」も目を覆いたくなる災害であった。
 あれから96年が経った令和という新しい時代にあって、私たちは大きな災害にあっても冷静に向き合えるか。
 少なくともこの本を自戒ふくめて読んでおく必要があるように思う。
  
(2019/09/01 投稿)

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