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プレゼント 書評こぼれ話

  太宰治の『女生徒』を
  読むのは
  何十年ぶりだろうか。
  太宰治のたくさんの作品の中でも
  この作品は
  最初に読んだ印象と
  再読した印象が違わない部類に
  入るのではないだろうか。
  今読んでも
  いい。
  暗い作品ではないけれど
  太宰治らしい甘さがほどなく効いている。
  この作品の巧さからいえば
  太宰治はずるいくらい。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  切なくて、涙が出そうになる                   

 昭和14年(1939年)に「文學界」に発表された太宰治の短編。文庫本で45ページほどの作品だが、太宰の晩年期の作品と違って、明るさがあり、太宰の多くの作品の中でも人気の高いものではないだろうか。
 太宰がこの作品を書いたのは30歳あたりの頃で、太宰の読者であった一人の女性から送られてきた日記をもとに書かれたことは有名な逸話。

 この作品の魅力はなんといっても、その流れるような文章力だろう。
 「あさ、眼をさますときの気持ちは、面白い。」という書き出しから、実にテンポよく流れる。この作品を読んだことのある人は、こっそり声に出して読んでみたりしなかったか。
 どこまで送られてきた日記が生かされているのか知らないが、主人公の14歳の女生徒が飼っている二匹の犬、そのうちの一匹が醜く、「可哀想で可哀想でたまらないから、わざと意地悪くしてやるのだ」といった心の状態など、いかにも太宰っぽい。
 こういう天邪鬼的なところが太宰の魅力ともいえる。

 その醜い犬が物語の最後、寝床についた彼女の、この短編は朝起きて夜眠るまでのわずか一日の話なのだ、耳に庭を歩く足音として登場する。
 「カアは、可哀想。けさは、意地悪してやったけれど、あすは、かわいがってあげます。」と女生徒は思う。
 この時、太宰も読者も醜く可哀想な犬なのかもしれないかわいがってくれる人があらわれるのを、ただ待っている、可哀想な犬なのだ。
  
(2019/09/19 投稿)

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