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プレゼント 書評こぼれ話

  落語の世界には
  吉原を描いた演目も多い。
  その中のひとつ、
  「木乃伊取り」は
  吉原に出掛けたまま帰ってこない若旦那を
  店のものが迎えていくが
  逆に居ついてしまうというお噺。
  それだけ吉原に魅力があったということだろう。
  今日紹介するのは
  そんな吉原を描いた
  朝井まかてさんの『落花狼藉』。
  朝井まかてさんの巧さが
  随所に感じられる長編小説。
  吉原に夢中になってしまう
  男って
  かわいいもんですな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  夢の世界にござりますれば                   

 時代小説や落語の世界ではおなじみの江戸の遊郭吉原。
 男なら一度は行ってみたいと思ったという吉原がどのように生まれ、大きくなっていったのかを、吉原にある西田屋という大店の女将花仍(かよ)の眼を通して描いた、直木賞作家朝井まかてさんの長編小説である。

 主人公の花仍は西田屋の主人甚右衛門に拾われ、その後妻として迎えられたが、勝気な性格は小さい頃から変わらず「鬼花仍」と呼ばれることもあった。
 甚右衛門は町の顔役としてお公儀に色街としての公許をもらうべき奔走し、13年という歳月をかけてそれを実現していく。
 花仍は亭主の傍らでそれを見、一方で若い太夫を育てるべく女将としての働きもする。
 花仍が思いをいれて育てた若菜という娘は思いがけない妊娠で、出産とともに赤児を残して先立ってしまう。
 その遺児鈴を育てる花仍たちに過酷な仕打ちが待ち受ける。
 一つは御公儀からの転地の強硬、一つは明暦の大火。
 まるで火事の火の粉が降る如く、花仍たちの運命を翻弄していく。

 これはそんな運命にも負けない男と女の物語といっていい。
 物語の終り、年老いた花仍の思いが綴られる。
 「吉原は造り物の世界。虚実を取り混ぜてお見せする、夢の世界にござりますれば」。
 この言葉の「吉原」を「小説」に置き換えれば、そっくりそれは作者である朝井まかてさんの決意のようにも思える。
 タイトルの「落花狼藉」には、「花がばらばらと散る」という意味の他、「女性や子供に乱暴を働く」という意味もあるそうだ。
  
(2019/09/21 投稿)

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