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プレゼント 書評こぼれ話

  先日「あきづき」という名前の
  赤梨を頂きました。
  比較的新しい品種らしいのですが、
  その瑞々しいことといったら
  こんなにおいしい梨を食べるのは
  初めてかも。
  秋の月のように
  大きな球形から
  この名前がついたそうです。
  今日は
  そういう関係でもないのですが
  葉室麟さんの
  『秋月記』を紹介します。
  これまた
  瑞々しい、おいしい作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  葉室麟文学の原型を感じる                   

 葉室麟氏のこの作品は、第141回直木賞(2009年)の候補作に選ばれたが、残念ながら受賞には至らなかった。
 受賞に至らなかっただけにこの時の選評を読むと厳しい意見が多い。
 その中で、宮城谷昌光氏の「私は氏の誠実さをみたような気がしている。時代小説作家の資質に天才は要らない。誠実さを積みあげてゆく不断の努力が要るだけである」という選評には、おそらく葉室氏も感激したのではないか。

 宮部みゆき氏の選評に「名前のついた登場人物が大勢出てくるのも、史実をないがしろにしない誠意がある」とあるように、この作品は歴史小説に分類されるのであろう。
 九州福岡藩の支藩であった秋月藩に実際に存在した間小四郎というと一人の武士を主人公にして、本藩の度重なる陰謀に翻弄されながらも、自らが生まれた藩を守ろうとする男の生き方を描いたこの作品には、のちに葉室氏が描き続けた、耐える男の原型があるような気がした。
 「自らの大事なものは自ら守らねばならぬ、そうしなければ大事なものは、いつかなくなってしまう」。
 これは主人公の小四郎の言葉だが、この思いは終生葉室氏の作品に流れているように思える。

 主人公の造形だけでなく、のちに葉室氏が作品として結実させた広瀬淡窓や葉室氏が愛してやまなかった漢詩の多様など、この作品が葉室氏の作風に残したものは大きい。
 先の宮部みゆき氏の選評は「史実から自由に解き放たれた葉室さんの作品も読みたい」と続くが、その作品『蜩ノ記』で直木賞を受賞するのは、第146回(2011年)まで待たなければならない。
  
(2019/10/03 投稿)

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