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プレゼント 書評こぼれ話

  7日亡くなった
  イラストレーター和田誠さんを悼んで
  三谷幸喜さんがこのようなコメントを
  寄せていました。

    学生の頃から憧れでした。(中略)
    和田さんのような人になりたいと、ずっと思っていました。
    和田さんの描く絵は、どれもスマートで、繊細で、温かい。
    和田さんご自身もそんな方でした。

  三谷幸喜さんのように
  和田誠さんに憧れていた人は多かったと思います。
  私も、もちろん、そのひとり。
  このブログには和田誠さん関連の記事を
  100件近くも書いています。
  和田誠さんの展覧会に行ったし
  そこで本物の和田誠さんにも会ったし
  講演会にも行きました。
  たくさんの絵本も読みました。
  そんな絵本の中から
  和田誠さんを偲んで
  今日は『ねこのシジミ』という絵本を
  再録書評で紹介します。
  2009年に書いた書評ですが
  自分の文章ながら
  最後の一文でなんだかしんみりしてしまいました。

  残念ながら、和田誠さんももういません。

  

sai.wingpen  しあわせなまいにち                   

 イラストレーターの和田誠さんちの飼い猫の名前は「シジミ」。「とってもちいさくて、貝のシジミのからのもよう」によく似ていたから、ついた名前です。
 シジミのことは和田さんのライフワーク的業績でもある「週刊文春」の表紙画を集めた『表紙はうたう』という画集の中にも「猫に思い入れが深いのは家族に加わっていた年月が長いせいだろう。(中略)長男が小学生の時に公園で拾ってきたシジミが思い出深い」と書いています。ということは、シジミは「週刊文春」にも登場した、有名な猫でもあります。(「週刊文春」の表紙を飾ったシジミは写実的に凛々しく描かれていますが、この本ではとても優しそうな柔らかい表情です)

 この絵本は、そんなシジミの視点で日常を描いた絵本です。
 第三回日本絵本賞も受賞(1997年)しています。
 和田さんが夏目漱石の『我輩は猫である』を意識されたかどうかはわかりませんが、冒頭の文章「ぼくはねこです。なまえはシジミ」っていうのは、やはり漱石の「我輩は猫である。名前はまだ無い」を彷彿させ、くすんと笑えます。
 和田さんは漱石のようにお髭をはやされていませんが、もしあったら、この文章のあとで、すこうしお髭を撫ぜたりしたかもしれません。そんな書き出しです。
 シジミがどろぼうをつかまえるきっかけになった「事件」のことも書かれていますが(この時の奥さんとシジミのツーショットのさしえがとてもいいんです)、これなども漱石風の「事件」で、きっとこのお話を書かれたあともお髭があれば、二度くらいは撫ぜたと思います。

 この絵本のおしまいは年老いたシジミがトランクの中で眠っているさしえです。そして、「このごろぼくは、あそんでいるじかんより、ねているじかんのほうがおおくなりました」という文章がはいります。
 シジミのそんな「しあわせなまいにち」がこちらにも伝わって、幸福な気分にしてくれます。
 残念ながら、シジミはもういません。
  
(2009/04/03 投稿)

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