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プレゼント 書評こぼれ話

  先日亡くなられた
  和田誠さんは多くの絵本を
  私たちに残してくれました。
  そのうちの多くを
  詩人の谷川俊太郎さんと作っています。
  その谷川俊太郎さんが
  10月17日の朝日新聞朝刊に
  「和田誠さんを悼む」として
  一篇の詩を寄稿しています。
  タイトルは「Natural」。
  その冒頭のところを書き留めておきます。

    君は過去になれない男
    目の前からいなくなっても
    いのちにあふれた絵とデザインに
    君は軽々と生き続けている

  で始まる、一篇の詩。
  今日は谷川俊太郎さんとのコンビで出来上がった
  絵本『あな』を
  再録書評で紹介します。

  また未来のどこかで、和田誠さん。

 

sai.wingpen  穴はなくなれば穴ではないのだろうか                   

 この絵本を読むには、まず縦を横に、横を縦にしてください。
 どうしてかって?
 それはページを開く、お楽しみということで。

 「にちようびの あさ、なにも することがなかったので、ひろしは あなを ほりはじめ」ました。
 どんどん深くほっていきます。でも、どうして、穴をほっているのか、ひろし君にもわかっていません。ただ、穴をほっているだけです。
 自分の身長よりも深くほって、ひろし君は思います。「これは ぼくの あなだ」と。
 そして、穴のなかから上を見上げると、「そらは いつもより もっと あおく」思えるのです。
 しばらくして、ひろし君は、穴を出て、それを埋めてしまいます。
 たったそれだけのお話です。
 そのことに意味があるのでしょうか。ないかもしれません。あるかもしれません。
 うめられた穴はもう穴という存在ではない。たとえば、ドーナツのあなみたいに、食べてしまえば、穴はなくなっているように。

 そんな不思議な物語が、和田誠さんのほのぼのとした絵のタッチで、ちっとも不思議に思えません。
 谷川俊太郎さんと和田誠さんのみごとな勝利です。
 和田誠さんは絵本の仕事について、特別展「和田誠の仕事」の図版のなかで「本が好きで、絵が描けて、デザインもできるとなると、絵本を作りたくなるのは自然の流れ」と書いています。そういう自然な楽しみがこの絵本にはあります。
 そういえば、その図版の表紙は、この絵本の原画です。
  
(2010/10/13 投稿)

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