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プレゼント 書評こぼれ話

  私は昭和30年生まれで
  もちろん戦後生まれということになるが
  生まれた頃はまだまだ戦争のしっぽを
  十分に引きずっていたのだろうと
  この頃よく思うことがあります。
  今日紹介する
  城山三郎さんのデビュー作『輸出』を含む
  短編集『総会屋錦城』の中の
  いくつかも短編を読むと
  主人公たちが戦争の傷をもった者として
  描かれていることに気づきます。
  いずれも昭和30年代前半に発表された作品で
  そこからすれば主人公たちに
  戦争経験があってもおかしくはありません。
  城山三郎という作家を考えた時
  そういう視点も
  はずせないような気がします。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  初期の城山三郎作品として重要な短編集                   

 第40回直木賞受賞作。(1958年)
 今回この本を手にするまで、情けないことに城山三郎氏が直木賞を受賞した『総会屋錦城』はもっと長い小説だとばかり思いこんでいて、実際は文庫本にして60ページにもならない短編だったことに少し驚きました。
 直木賞の選考委員による選評を読むと、おおむね評価はよく、受賞は妥当なところだと感じました。中でも村上元三委員の「日本の小説の中に政治と経済を扱った作品がほとんど無いのを残念に思って」いたから「これからは従来の作家に書けなかった経済の面を」期待するといった選評を読むと、これ以降の城山氏の執筆活動はそれによく応えたといえる。

 何しろ城山氏は経済小説の先駆者としてこの作品以降も高度経済成長期のサラリーマンの読書意欲高める経済小説を多数ものにしたことは、城山氏の人生を振り返ればわかることだ。
 中でもこの作品集は直木賞受賞作だけでなく、デビュー作ともいえる昭和32年(1957年)の「文學界」新人賞を受賞した『輸出』や交通事故を起こした時に被害者の見舞いに重役の肩書で出向く男の悲哀を描いた『事故専務』や無謀な飛行計画を行う男たちの姿を描いた『プロペラ機・着陸待て』など7篇の短編は、まさにこれから羽ばたかんとする城山氏の熱を感じる作品群といっていい。

 そして、城山氏の読み物としての面白さを読み取った当時の編集者の慧眼にも感心する。
 もし、城山氏に純文学の作家としての資質を求めていれば、その後の見事な長編小説群は誕生しなかったのではないだろうか。
  
(2020/01/09 投稿)

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