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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介しました
  高田郁さんの『みをつくし料理帖』は
  時代小説というジャンル。
  そして、今日紹介する
  奥山景布子さんの『葵の残葉』は
  歴史小説というジャンル。
  こう並べるとよくわかりますが
  歴史小説は史実に即したストーリーです。
  一方、時代小説は
  作者の創作。
  どちらがいいとかいうことではなく
  これは好みの問題でしょう。
  ただ、よく二つのジャンルがこんがらかって
  はて、と悩んでしまうことが
  ありますが。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  時代に翻弄された兄弟たち                   

 「私は、その男の写真を三葉、見たことがある。」、これは太宰治の『人間失格』の有名な書き出しだ。
 奥山景布子(きょうこ)さんが2017年に発表したこの歴史小説は三葉ではなく一葉ではあるが、一枚の写真から始まる。
 明治11年に撮られた写真。写っているのは、尾張徳川家十四代当主、徳川慶勝。一橋徳川家十代当主、徳川茂栄。会津松平家九代当主、松平容保。桑名久松松平家四代当主、松平定敬。
 この四人は美濃高須藩の松平家に生まれた兄弟である。
 ならば、兄弟の旧交を温めているかといえば、この兄弟の運命ほど時代に翻弄されたものはなかったであろう。
 会津藩の松平容保の名が最も有名であるが、幕末の時代彼が時代の矢面に立ったその時、兄二人は彼と敵対もしくは関わらずの態度をとっていた。
 さらにいえば、容保の弟の定敬に至っては箱館戦争にも関わるほど旧幕府軍側に加担していた。
 そんな四人の数奇な運命を描いたのだから興味が尽きない。

 写真好きで長州征伐の際にも写真機を持ち込んだという慶勝、その慶勝のあとを受けて尾張藩の当主となったもののその兄に追われるように転々とする茂栄、そして幕末の悲劇を一身の受けたような容保と定敬。
 いくら兄弟とはいえ、おそらく互いに憎悪を募らせていたはず。
 時代の過酷さを感じる。
 だからだろうか、四人が収まった一葉の写真には笑顔もない。
 憮然とした彼らの表情が幕末の時代をよく伝えているような気がする。
  
(2020/01/23 投稿)

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