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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日が「図書館」で
  今日は「図書室」。
  この違い、わかりますか。
  調べると、「図書館」というのは、独立した専用の建物で
  「図書室」は大きな建物の一室、
  というのがわかりやすかった。
  今日紹介する岸政彦さんの
  『図書室』は
  このタイトルだけで読んでみたくなっていました。
  我ながら「図書館」とか「図書室」に
  滅法弱いと思います。
  この作品で三島由紀夫賞の候補になったとか。
  受賞にはならなかったようですが
  いい作品だと思いました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  映画化されてもいいのに                   

 小説というのは当然文字だけで書かれているのだが、いい作品は読む者が文字から映像化しやすいものをいうのかもしれない。
 社会学者でもある岸政彦氏のこの中編小説を読んでそう思った。

 主人公は一人暮らしの中年の女。幼い頃は母親と猫と暮す、決して裕福とはいえない生活ながら、彼女は「幸福な子ども時代」であったと振り返る。
 そして今もまた「平和で平穏」だと思っている。
 そんな彼女が最近思い出すのは、十一歳の頃よく通っていた古い公民館にあった図書室のこと。そこで出会った同い年の男の子のこと。
 そこでの二人はまるで本で出来た繭の中で温められているかのように、二人だけの世界を生きている。
 ついに二人は地球最後の日まで迎えることになる。
 生き残るのは二人だけ。
 いつか来る地球最後の日の練習のために大晦日の日、缶詰を大量に買い込んで二人だけで淀川の河川敷をめざす。
 その堤防に立った時、二人はこう呟くのである。「地球やな」「うん、地球や」
 二人はもはや地球に残った人類最後の男女であるに違いない。
 二人だけで成長し、やがて子供、しかも女の子まで産み育てる。
 まるで手塚治虫の漫画の世界のようでもある。
 これが子供二人のたわいない遊びであることは十分承知しているが、まるでこうして人類はまた新しい一歩を始めるに違いないとも思えてくる。

 岸氏の筆は過不足なく子供の時間を描いている。
 そういうことを経験した子供が大人になれば、どんな生活であろうと「平和で平穏」と思えるのかもしれない。
  
(2020/02/01 投稿)

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