FC2ブログ
プレゼント 書評こぼれ話

  今日紹介する
  葉室麟さんの『潮鳴り』は
  2013年に私が読んだ本の
  ベスト1に選んだ作品です。
  今回はあれからはじめて
  読み返したことになります。
  初めて読んだ
  2013年12月25日の書評で
  「絶品」とまで書いています。
  今回もヒロインお芳や
  主人公の櫂蔵の継母染子など
  女性の美しさに
  心打たれました。
  葉室麟さんは
  女性を描くのがうまかったな。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  美しい女たちの物語                   

 2017年12月に亡くなった葉室麟さんは主に長編小説を書き続けた作家であった。
 決して長い作家生活ではなかったが、毎年ほぼ5作品ほどの作品を上梓し続けた筆力はさすがという他ない。
 『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞したのが2012年(単行本の刊行はその前年の2011年)、その作品と同じ舞台豊後羽根(うね)藩を描き、のちに「羽根藩」シリーズとなる2作目となるこの作品が刊行されたのは2013年だから、シリーズ物としては時間がかかっている。
 おそらく葉室さんの中で醸成されていくまで時間がかかったのだろう。

 物語はそんなに複雑ではない。
 しかし、そのテーマは実に重い。
 単純にいえば「再生」ということになろうが、「落ちた花は二度と咲かない」といわれるが、この物語の主人公伊吹櫂蔵は咲かせてみたいと願う武士である。
 櫂蔵がそう思うに至るには、自身の落ちぶれもあったが、異母弟の無念の自害を知ったこと、それに絶望した自分を助けてくれたお芳もまた「落ちた花」であったからこそ、それを救いたいという祈りのような感情があったのだろう。
 こういう重いテーマでありながら、それをあえて複雑にすることなく、闘う者、欺く者、悪しき者、良き者をわかりやすく描くことで、読者の胸にすっと入ってくる。

 文庫本には朝井まかてさんの「解説」がついているが、その中で朝井さんはこの作品は「再生の物語」でもあり「青春の物語」でもあると書いている。
 そして、おそらく美しい女たちの物語でもある。
  
(2020/03/27 投稿)

    芽 「ブログランキング」に参加しています。
     応援よろしくお願いします。
     (↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 今日もクリックありがとうございます)
 
    にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

レビュープラス
Secret

TrackBackURL
→http://hontasu.blog49.fc2.com/tb.php/4276-857319dc