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プレゼント 書評こぼれ話

  昨日紹介した
  ウエブスターの『あしながおじさん』は
  100年以上前の作品ですが
  絵本だって
  負けてはいません。
  今日再録書評で紹介する
  バージニア・リー・バートン
  『ちいさいおうち』は
  1942年の作品ですから
  80年近くも前の絵本です。
  『あしながおじさん』でもそうですが
  いい作品というのは
  決して古びないものです。
  今日の書評は2011年の5月に
  書いたものです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちが求めたもの                   

 この絵本は1942年にアメリカの最優秀絵本として賞を受けていたことに驚いてしまいます。
 昔の人なら、だから戦争に負けるのだというかもしれません。私は「戦争を知らない子供たち」の世代ですから、そんな無粋なことはいわないですが、それでも大きな文化の違いを感じます。
 当時のアメリカにはこの絵本が描こうとしていたように、拡大一途の文明の発展を良しとはしない、そんな主張もまちがいなくあったのでしょう。
 しかし、残念ながら、それがすべてではなかった。ちいさなおうちの住む場所がいつの間にか田舎から町、そして大都会へと変わっていくことを人間の進化のように考える多くの人がいたということが、この絵本の出版から70年近くなって、歴史が証明しています。

 日本でもそうです。戦争が終わって、多くの人たちがめざしたのは、ちいさなおうちが大きなビルのはざまで息もできなくなって苦しむそんな生活でした。それが当時の人たちの希望だったのです。それはちょうど、ちいさなおうちがずっと昔に町の遠いあかりをみながら「まちって、どんなところだろう」と思ったこととよく似ています。
 春のにおいを胸いっぱい吸い込み、夏のひかりに目を細め、秋の風に髪をなびかせ、冬の寒さに身をかがめる。そんな自然と折り合っていく生活を、「便利」という誘惑と「不便」という理由で捨てていった、私たち。
 ちいさなおうちの頭の上に広がる雲がいつの間にか真っ黒に変わっていくのを見過ごしてしまいます。ちいさなおうちのまわりに「ひなぎくのはなも さかない」ことに不思議を感じなくなっていきます。

 私たちは残念ながら、この絵本の最後の部分を読み損なってきたのかもしれません。あるいは、読んでいながらそれでも都会の誘惑に負けてしまったのかもしれません。
 だったら、何度でも読むしかありません。子供へ孫へ、新しい世代へと読む継いでいくしかありません。
 きっといつか、この絵本が、ちいさなおうちが求めたものを、誰もがわかる日がきます。
 それがいつなのか、いえないことが悔しいとしても。
  
(2011/05/15 投稿)

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