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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  織田作之助の有名な短編小説
  『夫婦善哉』を紹介します。
  この作品は
  インターネットの電子図書館の
  「青空文庫」で読みました。
  ちょっと前に
  1955年に封切られた
  豊田四郎監督の映画をDVDで観たところでした。

  

  主人公のダメな男を森繫久彌さんが演じ、
  この作品で一躍演技派と称賛されます。
  ヒロイン蝶子は淡路千景さん。
  こちらも熱演です。
  この映画、その年のキネマ旬報のベストテン2位ですから
  映画の完成度も高い。
  でも、織田作之助の原作もいい。
  たくさん本を読んできたつもりですが
  実はこの作品を読むのは
  初めて。
  お恥ずかしい。
  でも、出会えてよかった。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  オダサクの名短篇                   

 今でも「オダサク」と愛称で呼ばれることの多い作家織田作之助。
 オダサクは昭和22年(1947年)33歳の若さで亡くなっているが、文学史において太宰治や坂口安吾らとともに「無頼派」「新戯作派」などに属されることが多い。
 そして、彼の代表作といえば、何といってもこの『夫婦善哉』だろう。
 昭和15年(1940年)に発表された短編小説で、映画化やドラマ化など今でもたくさんの新しい読者を獲得している。

 主人公は化粧品問屋の跡取り息子ながら優柔不断で妻子がありながらついに女をつくって家を出てしまう男柳吉。そして、その相手であるしっかり者の元芸者が蝶子。
 この二人が初めて東京に駆け落ちしたのが柳吉31歳で蝶子が20歳。
 熱海で遊ぶ二人に襲ってきたのが大正12年の関東大震災。
 その時「えらい駈落ちをしてしまったという悔が一瞬あった」と、オダサクは書いているが、しっかりと揺れるはずのない自分たちの足元が、大きく波うつのだということ、そしてこれ以降の二人の生活をこの大きな地震が予告しているようで、この作品の良さが出た一文だろう。

 このあとも蝶子は何度も柳吉に騙され、それでも彼を捨てることはない。
 面白いのは小さな天婦羅屋を営む蝶子の父母で、柳吉に苦労する蝶子を見ながらも謗ることなくわずかではあるが助けの手を差し伸べる姿だ。
 一方の柳吉の実家の冷酷さと比べれば、大阪の人情はこういう貧しい場所から生まれたのだと思いたくなる。

 短篇小説ながら、オダサクの巧さ才気が迸る名品である。
  
(2020/04/16 投稿)

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