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プレゼント 書評こぼれ話

  先日
  福島の老舗百貨店中合(なかごう)が
  8月末で閉店するというニュースが
  はいってきました。
  創業146年といいますから
  どれだけ福島の皆さんにとっては
  なくてはならない百貨店だったと思います。
  一時期この百貨店にお世話になったことがあります。
  もう10年以上前になります。
  その当時も
  福島の皆さんが中合をどんなに愛しているのかを
  ひしひしを感じたものです。
  今日紹介する村上春樹さんの
  『ランゲルハンス島の午後』というエッセイ集は
  昭和60年頃に書かれたものですが、
  その中に「デパートの四季」というエッセイがあります。
  そこで村上春樹さんは

    すいているデパートはどことなく植物園に似ている。

  と書いています。
  そのわけは、「微妙な季節感が味わえる」からだと。
  そして、その最後にこう綴っています。

    デパートについてはまだまだ発掘するべき可能性が
    遺されているように僕には感じられる。

  この文章は書かれて30年以上経って
  もしかしたらデパートは「発掘するべき可能性」を
  見つけられなかったのかもしれません。
  でも、デパートにあった季節感は
  いつまでも心に残ります。

  中合さん、長い間お疲れさまでした。
  そして、ありがとうございました。

  

sai.wingpen  昭和のエッセイでも気持ちいい風のよう                   

 ある作家のファンになると、その人の書いた作品を全部読みたくなるものだ。
 だから、その作家の作家歴というか、書いてきたどの時点でファンになるというのが結構重要になってくる。
 よく「同時代」作家という言い方をするが、そういう作家の場合、本が出る都度読んできたはずだから、作家の作家歴と共に歩んだことになる。
 村上春樹さんの場合だ。
 村上さんが『風の歌を聴け』で作家デビューしたのが1979年。もう40年以上前になる。
 その年に生まれた人が村上さんの作品を読み始めた時にはすでに村上さんはたくさんの小説やエッセイを発表していたことになる。
 ましては、『騎士団長殺し』からファンになった人にとっては、読む作品に困らないくらいたくさんある。

 安西水丸さんのイラストが素敵なこのエッセイ集の場合、雑誌連載が1984年からで、単行本になったのが昭和61年、新潮文庫に入ったのが平成2年、そして今読むとして令和の時代。
 なんと三つの時代をスイスイと泳いでいることになる。
 平成生まれの人にとって、村上さんの本といっても、昭和のエッセイになる。
 でも、「同時代」作家の村上さんを読んできた者としては、この頃の村上さんのエッセイ(そして、安西水丸さんのイラスト)はとっても面白い。それにおしゃれ。
 爽やかな風を感じる文章は、平成の時代に読んでも心地いい。

 村上さんの新しい読者にも必ず読んで欲しいエッセイ集である。
  
(2020/05/30 投稿)

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