06/03/2020 小夜しぐれ みをつくし料理帖 5(高田 郁):書評「それぞれの恋のゆくえが気になります」

今回のコロナ禍で
多くの業種で影響を受けていますが
飲食業も大きな影響を受けています。
そのせいか
多くのお店でランチやテイクアウトを始めていますが
お客さんが来ないことには
どんなに精魂込めても
食べてもらえないということになります。
今ほど
外食の愉しみをしみじみと感じることはなかったかもしれません。
コロナ禍が落ち着いたら
美味しい食事と楽しいお酒を
愉しみたいものです。
今日は
高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズの5巻め
『小夜しぐれ』を
紹介します。
おいしい料理をこの本で。
じゃあ、読もう。

高田郁さんの人気シリーズ「みをつくし料理帖」の5作め。
この巻でも四つの料理とともに四つの短編が収められている。
巻末付録「澪の料理帖」に掲載されている料理名は、「浅蜊の御神酒蒸し」、「菜の花飯」、「鰊の昆布巻き」(この料理には今までの料理の中でも最も下拵えに手間のかかる逸品とあります)、そして「ひとくち宝珠」(これは主人公の澪が作る料理ではなく、澪が密かに心を寄せる御膳奉行の小野寺数馬が作る菓子)である。
この5作めほどバラエティーに富む巻はなかったかもしれない。
主人公の澪が料理人を勤める「つる屋」の主人種市と亡き娘おつるの経緯を描く「迷い蟹」、
次の「夢宵桜」は澪の幼馴染野江があさひ大夫と名を変え暮している吉原を舞台にした短編。表題作にもなっている「小夜しぐれ」は町医者源斉に想いを寄せる澪の友達美緒に持ち上がる縁談話。
しかもこの回では、澪が世話を受けた大坂「天満一兆庵」の女将芳の失踪した息子の消息の挿話も盛り込まれている。
そして、最後の「嘉祥」には澪は登場しない。彼女の想い人小野寺の菓子作りの苦労が描かれているが、その随所に彼の澪への想いも綴られている。
「夢宵桜」という作品の中で澪の料理がなぜ美味しいかという訳を町医者源斉がこう語っている。
「あなたが食べるひとの身を思って料理をしているからだろう、(中略)美味しく食べてほしい、食べることで健やかになってほしい」と。
そのことは澪だけではない。
きっとこれこそ多くの料理人の心がまえではないだろうか。
(2020/06/03 投稿)

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