06/19/2020 愛のうらおもて(松田 哲夫 編):書評「大人の人も哲学してみませんか」

コロナ感染が
ピークの頃、
新聞の広告で
大きく出たのが
あすなろ書房の
「中学生までに読んでおきたい哲学」全8巻の広告。
子供たちの学校が休校している時期でもあって
なんともいい本の広告だと
調べると、
このシリーズは2012年に刊行されていたことがわかって
さっそく図書館に予約を
いれました。
まずは第1巻、
今日紹介する『愛のうらおもて』。
すごい執筆陣に圧倒されます。
ゆっくり全巻読んでいきます。
じゃあ、読もう。

全8冊になるシリーズの編者である松田哲夫さんは、哲学は哲学書や哲学講義の中にだけあるのではなく、日常の暮らしの中にも考えるためのヒントがあると、記しています。
その上で、自分の頭で考えるきっかけになるような文章を集めたそうです。
つまり、哲学というのは「自分で考えること」なのでしょう。
では、何を考えるのでしょう。
それこそ、人生のありとあらゆること。このシリーズの各巻のタイトルということになります。
その第1巻がこの本で、「中学生までに読んでおきたい」それの最初が、「愛のうらおもて」っていうのが、またなんともいいと思いませんか。
この巻で紹介されている書き手は、向田邦子、円地文子、森瑤子。坂口安吾。吉行淳之介。佐野洋子、倉橋由美子。幸田文。太宰治、桂文楽、森鴎外、小泉八雲など総勢19名の豪華さ。
しかもその文章がエッセイあり小説あり落語あり、最後には戦没学生が死を前にして恋人に宛てて書いた日記ですから、なんとも幅広い。
こんな贅沢な本を子供たちだけに読ませるのはもったいない。
きっと大人の人でもこれだけ多くの「恋愛話」を読んだ経験はないのではないでしょうか。
「愛」といっても、男と女の愛だけではありません。
向田邦子の「ゆでたまご」というエッセイは母の愛を描いて秀逸。「私にとって愛は、ぬくもりです。」なんていう決めセリフに、中学生たちでもドキッとするのではないかしら。
親から子への性教育を描いた幸田文の「啐啄(そったく)」もいい。
一番読み応えがあったのは森鴎外の「じいさんばあさん」だったのは、自分でも意外だったですが。
(2020/06/19 投稿)

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