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プレゼント 書評こぼれ話

  私が初めて
  東京に出てきたのは1975年頃だったが
  その当時すでに東京は
  十分大きな街で
  もうそれ以上人の住むところなど
  増えそうにないように
  思ったものです。
  ところが、そのあとも
  東京はどんどん大きく
  高くなっていって
  その当時からすれば
  未来都市にでもなったようでもあります。
  門井慶喜さんの
  『東京、はじまる』は
  まさに最初のスタート地点を描いた
  面白い作品です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  空に向かって                   

 門井慶喜さんには『家康、江戸を建てる』という傑作連作集があるが、徳川家康が開いた江戸から200年超を経て、明治となり、江戸はその名も東京へと名前を改める。
 だから、この長編歴史小説は気分は『家康、江戸を建てる』に近いが、東京駅を設計したことで有名な建築家辰野金吾の生涯を描いて、これもまた読み応え十分だ。

 辰野金吾は明治維新前の1854年肥前唐津藩の下級武士の家に生まれている。
 明治期の著名人の多くがそうであったように、辰野も維新がなければその後の人生はまったく違ったものであっただろう。
 とにかく維新があって、江戸が終わった。
 辰野は東京と変わった街に出、現在の東大工学部の前身である学校に第一期生として入学する。
 そこで英国人の建築家コンドルで出会うことになる。
 辰野はその生涯で200件以上の建造物を造ったが、この作品では彼の名を最初に高めた日本銀行本店と東京駅に関わる事柄がメインに描かれていく。

 東京という巨大な街は一朝一夕で出来上がった訳ではない。
 政治も社会も文化も明治維新をはさんで生まれ変わったといえる。
 そして、それらを容れる建物も街づくりも。
 江戸が東京に生まれ変わるにあたって、辰野のような人物がいた、あるいは生まれたことこそがこの国の素晴らしさだったといえる。
 門井さんはそんな人物を実に颯爽と描いている。
 主人公である辰野は時折建造中の骨組みを昇り、空へと向かう。
 明治から大正にかけて、まさに人々がそんな気分であったのだろう。
 原題の「空を拓く」というのもわるくない。
  
(2020/07/10 投稿)

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