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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  2作の同時受賞となった
  第163回芥川賞受賞作のひとつ、
  遠野遥さんの『破局』を
  紹介します。
  あまり期待もしていなかったのですが
  割りと自分の中では
  はまった作品でした。
  登場人物たちは大学生ですから
  描かれているのも
  青春期のあやうさですが
  そういうのはいつの時代でもあるのだろうと
  思います。
  そういった時期から
  私自身はすっかり遠くのところにいますが
  遠い記憶の中から
  あぶくのように浮かんでくる
  そんな感情です。
  いい作品でした。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  青春を描いて「普遍的な小説」                   

 第163回芥川賞受賞作。(2020年)。
 なんともそっけないタイトルだが、受賞作がまだ2作めという作者の第一作めのタイトルが『改良』というから、そういうそっけなさが性分なのかもしれない。
 以前の選考委員の石原慎太郎氏なら文句のひとつもいいそうだが、今の選考委員の人たちは上品だからそんなことに注文もつけないのだろう。
 今回の「選評」を読んでも、この作品が受賞作に選ばれる程の熱気があまり感じられなかったのだが、受賞の大きな決め手はなんだったのか、よくわからない。
 ただ「『破局』に二重丸をつけて臨んだ」という、小川洋子委員の評だけはよくわかった。
 小川委員は「社会に対して彼が味わっている違和感に、いつの間にか共感している。もしかしたら、恐ろしいほどに普遍的な小説なのかもしれない」と絶賛に近い。
 私もこの意見に賛成だ。

 芥川賞はたびたびその時代の青春像を浮かびあげる作品を世に送り出してきた。
 この作品もそれらの系譜につながるのではないかと感じた。
 卒業した高校のラグビー部で後輩たちの指導をしながら公務員試験に臨んでいる大学生。
 セックスが好きだという彼には麻衣子という政治家志望の恋人がいたが、偶然知り合った新入生の灯と付き合うことになる。
 運動とセックス、ルールをはずれることを嫌う真面目な優等生の彼が次第に崩れていく姿は、そういえば昔観た神代辰巳監督の「青春の蹉跌」の主人公像と重なる。
 青春という叶うことのない甘い時期を描いて、確かに小川洋子委員のいうように、この作品は「普遍的な小説」なのかもしれない。
  
(2020/09/02  投稿)

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