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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は
  朝井まかてさんの『』という本を
  紹介します。
  朝井まかてさんは
  書くたびに成長する作家で
  どこまで重厚な作品を書いていくのかと
  これからも目が離せません。
  今回の『』は
  明治の文豪森鴎外の末っ子の生涯を
  描いたものです。
  本の帯から。

    鴎外の子であることの幸福。
    鴎外の子であることの不幸。

  これだけで
  読みたくなりました。
  読書の秋にぴったしの
  長編小説です。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  生きるって大変なこと                   

 朝井まかてさんの渾身の長編伝記小説といえる作品。
 タイトルの「類」は人の名前で、正式には森類(るい)という。
 明治の文豪森鴎外の三男二女の末っ子として生まれたが類。そもそも鴎外の子供たちは鴎外の西洋嗜好だろうか、当時の名前としてはどの子も珍しい名前がついている。
 長男が於菟(おと、と読む。類とは20歳以上離れていて、鴎外の先妻の子供)、、長姉は茉莉(まり。彼女の自由奔放な生活ぶりはこの作品でも描かれている。晩年多くのファンをもつ作家として活躍)、次姉は杏奴(あんぬ、と読む。随筆家として有名)、次男の不律は早逝している。
 こうして列記すると、茉莉を筆頭に鴎外の子供たちの個性の強さに圧倒される。
 そして、この作品の主人公類であるが、父や母あるいは兄姉をことを綴った作品は残しているが、他の兄姉と比べて見劣りがするし、こういう人が親類縁者にいれば周りの人はかなり迷惑するだろう。
 つまり彼は鴎外が残した遺産と印税で暮らした高等遊民で、戦後の混乱時に初めて働きに出るも続かず、同僚に「あなたのような人が生きること自体が、現代では無理なんです」と言わしめる。その言葉にも、彼は反応しないのだが。
 こんな人物がよく生きたものだとあきれるが、だからといって彼を唾棄できないところがある。
 妻の言う「森鴎外というお人が充実し過ぎていたんだわ。あなた、お父様に全部持っていかれてしまったのよ」という言葉が、類という人間をもっともとらえているといえる。

 作者の朝井さんは「その人がつまずいて、そこからどう生きたかというところに惹かれて書くことが多い」とあるインタビューで答えている。
 森類はまさにそんな人生を生きた人であった。
  
(2020/10/21 投稿)

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