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プレゼント 書評こぼれ話

  朝井まかてさんの『』は
  明治の文豪森鴎外の三男である
  森類さんを描いた作品ですが
  私はほとんど森鴎外の作品を
  読んでいませんでした。
  朝井まかてさんのあとに
  宮本輝さんの『灯台からの響き』という作品を読んだのですが
  そこに
  今日紹介する森鴎外の『渋江抽斎』の作品が
  登場してきて、
  自分の中で森鴎外の糸が
  つながった感じになりました。
  だったら、せっかくなので
  『渋江抽斎』を読んでみるかと手にしました。
  これがとっても面白かった。
  こんないい作品を
  ずっと見落としていたことに
  いささかの悔いと
  それでも読めたことの喜びに
  やっぱり読書は面白いと感じました。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  退屈させない森鴎外の代表作のひとつ                   

 「史伝」というのは、「広辞苑」によれば「歴史と伝記」とまずあり、「歴史に伝えられた記録」と続く。
 小説ではないので創作の要素がないのだろうが、森鴎外が55歳の大正5年(1916年)新聞に発表し鴎外史伝の代表作にもなったこの作品の面白さはどうだろう。
 読めばほとんど記録の羅列が続くのだが、そしてそこには実に多くの人が登場(誕生)し、消えて(死んで)いるという人間の営みがまずあることがよくわかる。
 それでいて、小さな挿話の一つひとつがまるで良質の短篇小説を読んでいるような味わいがあって、飽きさせない。

 中でも主人公たる弘前藩の医官で考証学者の渋江抽斎の四番目の妻となる五百(いお、と読む)の魅力といったらない。
 彼女が抽斎の妻になるのあたっては実家の事情を慮って抽斎に嫁ぎ、その抽斎の力を借りて実家に監督せしめようとしたという。
 この逸話にしても当然婚儀に話として書かれてもよいものを、鴎外はあえて終り近くに持っていく。
 この作品が読むやすく面白いのは、かくのように鴎外の巧みな編集力にあるといえる。
 主人公の抽斎が53歳で亡くなったあとも鴎外がこの「史伝」を書き続けるのは、歴史とは単に一人の人物の生死ではなく、彼がもたらしたあらゆることが歴史を生み出すという思いがあったのかもしれない。
  
(2020/11/25 投稿)

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