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プレゼント 書評こぼれ話

  朝井まかてさんから始まり
  宮本輝さんへと続く
  森鴎外の糸は
  まだ続いていきます。
  今朝日新聞に連載中の新聞小説は
  池澤夏樹さんの「また会う日まで」という作品で
  まったく読んでいないのですが
  先日ふと目にとまった回に
  森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』のことが書かれていました。
  とても偶然なのですが
  やっぱり私としてはとても気になりました。
  しかも、この作品もまた未読でしたので
  今回読んでみることにしました。
  結論的には
  なかなかいいぞ森鴎外という感じです。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  過ぎ去った甘酸っぱい記憶の追体験として                   

 本のタイトルだけで胸がときめくということはあまりない。
 その点ではこの小説は稀有といっていい。
 何しろ日本語読みにすると、「性欲的生活」なのだから、発表された明治42年(1909年)当時発表誌が発禁処分となったのはわからないでもない。
 ただし、21世紀の現代においてこの作品を淫らに性欲を高めるものと評する人はいないと思う。
 もちろん、この作品をどのような年齢で読むか、それは関係するかもしれない。
 森鴎外といえば夏目漱石と双璧をなす明治の文豪だし、彼が書いた作品の代表作のひとつともなれば早ければ中学生、遅くても高校生でこの作品を読むだろう。
 若い読者にとってこの作品がどの程度刺激的であるか、今はそんな時代から遠く離れたしまったシニアの読者には想像すらできない。

 シニア読者がこの作品を読んで刺激されたかと問われれば、明確に「否」である。
 むしろ純な青春小説ではないかと思えてくる。
 吉原に繰り出して相手の女性と腕角力をしていたなどといったエピソードは笑えるし、「世間の人は性欲の虎を放し飼にして、どうかすると、その背に騎って、滅亡の谷に堕ちる。自分は性欲の虎を馴らして抑えている。」と真面目に書かれると、鴎外の厳めしい顔を思い出してしまう。

 読みようによってはシニアの読者こそこのような作品を必要としているかもしれない。
 過ぎ去った甘酸っぱい記憶の追体験として。
  
(2020/11/26 投稿)

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