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プレゼント 書評こぼれ話

  本を読むきっかけの一つに
  新聞の新刊広告がある。
  今日紹介する
  浅田次郎さんの『おもかげ』も
  新聞広告で見つけた本。
  講談社文庫の新刊案内でしたが

    涙亡くして読めない至高の最終章。

  という惹句よりも
  主人公が定年まで勤め上げた男というのに
  魅かれたといえます。
  この作品の中に
  定年後の生き方についてこんな一節がありました。

    「何をしてもよい」と考えれば豊饒な時間だが、
    「何もしなくてよい」と考えれば貧困な時間なのである。

  この一節に巡り合えただけでも
  よかった。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  私たちが生きてきた時代                   

 65歳の定年退職の送別会の夜、竹脇正一は地下鉄新中野のホームで倒れ病院に運び込まれる。
 集中治療室で治療を受ける主人公。そのもとを訪れる友人、妻、娘の夫、幼馴染。現実のそんな人々よりも主人公の意識に入り込んでくる謎の女たち。
 彼らを通して、主人公の生い立ちが明らかになっていく。

 竹脇正一は両親を知らない。
 生まれて間もなく捨てられ、名前も無理やりつけられた。もうすぐクリスマスイブという夜だった。
 養護施設で育ちながらも大学まで進み、大手商社に入社。右肩上がりの経済の中、彼もまた商社マンとして活躍していく。
 妻もまた事情を抱えていて、両親は離婚。夫の正一と大差ない環境で育った。
 そんな夫婦にも危機があった。最初の男の子を小さい時に亡くしている。
 それでも正一は65歳まで実直に勤め上げたというのに。その夜に斃れてしまうなんて。

 戻らない意識、しかし正一の中では喪ったものを探し出すことに一所懸命だ。
 読者はそんな主人公の切ない旅をともに往くことになる。
 そして、たどり着いたのも地下鉄の中。
 正一だけでなく読者もまた驚くべき光景を目にする。
 誰かの声、「人生はまだこれからなのよ、だから泣いちゃだめ」。

 毎日新聞に2016年12月から翌17年7月まで連載された長編小説に、涙した読者も多かったのではないだろうか。
  
(2020/12/03 投稿)

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