01/22/2021 秋吉久美子調書(秋吉 久美子/樋口 尚文):書評「ミューズ秋吉久美子」

最近家で映画を観る機会が多い。
というのも、
TSUTAYATVとかアマゾンプライムとかを
視聴できるようにしたからで
従来からのCSでの放送も合わせれば
見飽きることがない。
しかも、アマゾンプライムで
秋吉久美子さんのデビュー当時の
「赤ちょうちん」「妹」「バージンブルース」を
視聴できたのは
歓喜としかいいようがない。
中でも「赤ちょうちん」。
秋吉久美子さんの瑞々しいヌードだけでなく
次第に狂っていくヒロインの姿など
しっかりと覚えていたのに
自分でも驚いた。
そんなところに
今日紹介する『秋吉久美子調書』を見つけたのだから
夢中で読みました。
じゃあ、読もう。

女優・秋吉久美子は僕たちのミューズ(女神)だった。
「僕たち」というのは、おそらく秋吉と同世代の人たちで、1974年に立て続けに藤田敏八監督によって撮られた「赤ちょうちん」「妹」「バージンブルース」という青春三部作をリアルに観た世代といっていい。
1954年生まれの秋吉はこの時二十歳。そして、同世代の観客もまた二十歳前後の若者だったことは間違いない。
多くの若者たちは、この時、スクリーンの中の秋吉に自分を投影していたに違いない。男であれ、女であれ、秋吉は自分(たち)
「調書」と名付けられたこの本は、映画評論家樋口尚文氏による秋吉へのロング・インタビューと樋口氏による「秋吉久美子論」、そして出演作データベースの三部構成でできている。
樋口氏は1962年生まれだから、秋吉の青春三部作が封切られた時はまだ12歳の少年だが、この三部作はのちの映画青年たちに愛され続けたから、樋口氏にとっても忘れ難い作品だったのだろう。
樋口氏の映画愛が徹底されているのがロング・インタビューだ。
デビューまでのエピソードはあるが、デビューしてから時に世間を騒がした、例えば秋吉が妊娠した時の「できれば(子どもは)卵で生みたいわ」みたいな迷言などは除かれ、演技や監督など映画に徹しているのが清々しい。
樋口氏は「秋吉久美子論」の中でこう書いている。
「秋吉は、本人が自覚しているように、時代に選ばれし「時の娘」なのである」と。
秋吉久美子とは僕たちそのものだったのだ。
(2021/01/22 投稿)

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