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プレゼント 書評こぼれ話

  今日は二十四節気のひとつ、
  啓蟄
  冬眠していた虫などが穴から出る頃。

    啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる      山口 青邨

  今日は
  星野道夫さんのエッセイアンソロジー
  『約束の川』を紹介しますが、
  星野道夫さんが冬眠しているクマの穴に
  入る場面を描いた作品「雪、たくさんの言葉」も
  収められています。

   雪の下でじっと春を待つその姿は、
   地上で動く姿よりもっと強い生命のたたずまいがあった。

  実際に体験したものにしか書けない
  文章だと思います。
  こうして、
  星野道夫さんの作品が
  新しい本として刊行されたことを
  うれしく思います。

  じゃあ、読もう。

  

sai.wingpen  星野道夫というおいしい水                   

 本書は、百科事典の平凡社が提案する随筆シリーズ「STANDARD BOOKS」の第四期の最初の巻となった一冊です。
 2015年12月に書かれた「刊行に際して」という文章に、「科学と文学、双方を横断する知性を持つ科学者・作家の作品を集め」とあります。
 第一期の寺田寅彦から始まって、第三期まで既に22人の著名人の作品が刊行されています。
 そんな一冊に、写真家星野道夫さんの作品が収められるなんて、うれしいというしかありません。

 「刊行に際して」はまだ続きます。
 「境界を越えてどこでも行き来するには、自由でやわらかい、風とおしのよい心と「教養」が必要です」。
 星野道夫さんがアラスカに魅了され、定住の地と決意するまでに至った経緯は、本書にも収録されている「シシュマレフ村」という随筆にあるように、偶然手にした一冊の写真集でした。学生だった星野さんは、まさに「自由でやわらかい」心でその村に手紙を送ります。
 もし、星野さんが知り合いもまして言葉も十分でないことに尻込みをしていたら、アラスカとの出会いはなかったと思います。
 そして、写真家であった星野さんがこれほどまでに上品で美しい文章を書けたというのも、今となっては奇跡のようなことかもしれません。
 単にカメラ越しに物を視るのではなく、星野さんは心にそれらを写し取っていたのだろうと思います。
 それが、言葉になるのは、まるで谷川からの流れ来る自然の水のようではなかったでしょうか。
 私たちは星野道夫というおいしい水を飲めているのです。
  
(2021/03/05 投稿)

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